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“『ぼのぼの』愛”に満ちた新作アニメ『ぼのぼの』。原作者・いがらしみきお×監督・山口秀憲×主題歌担当・モノブライト桃野陽介インタビュー

2016.04.01

――鼎談でも山口監督と桃野さんは原作が好きだとおっしゃっていましたね。『ぼのぼの』を知ったきっかけとは?

桃野陽介(以下、「桃野」) 物心ついた時に作品が存在していたんですよ。最初はラッコの絵が目に入ってきて、これは「動物のマンガなんだ」って漠然と思っていたんです。それからアニメを見たり、マンガを読んできたり……と完全に生活の一部に近い立ち位置となっていきました。『ぼのぼの』は「街を歩いていて車が通る」「木が立っている」ということのと同じなんですよ。しみこんでいく感じで作品に触れていましたね。

山口監督(以下、「山口」) 連載が開催された時、僕は10代だったんです。僕は当時の子どもたちと同様にガンプラが好きだったんですが、模型雑誌に『ぼのぼの』が掲載されていたんです、モデラーさんが作ったオリジナルフィギュアが。誌面にコラムみたいな形でマンガが紹介されていたんです。汗の表現、矢印の使い方、特に動的なシーンが多いわけではない作品が、ジワジワと面白くなってくる……というような紹介をされていて。ちょうど原作の1巻か2巻が発売されたころで、コミックスを読んだら「これはすごいぞ」と。それ以降買い続けています。

――映画化、テレビアニメ化がありました。そして、再びTVアニメとなりました。鼎談でもお話いただきましたが、改めて今の心境をお聞かせください。

いがらし先生(以下、「いがらし」) 感慨深いものがありますね。連載を30周年もやってしまった……という感じで。

一同笑

いがらし それから(前の)アニメも20年経ってしまった、と。このように「してしまった」という世界ですから、もう一度アニメ化ができるということに幸福を感じます。そういうマンガ家は何人もいないでしょうからね。そう考えると運がいいマンガ家だなと思います。

――連載を30年も続けられる秘訣は?

いがらし あまり深く考えない、ということ。あと、「竹書房という出版社で描いたから30年続いたのでは?」と、とある人から言われたことがあるんです。メジャーな出版社だったら10年ぐらい前に終わってたんじゃないかな(笑)。あと、もう1つ珍しいことがありまして。『ぼのぼの』が始まる少し前から、担当編集が変わっていないんですよ。これは他の出版社ではあり得ないことです。竹書房に感謝しないといけませんね。

――長寿連載となった『ぼのぼの』の魅力とはどういったものなのでしょうか?

桃野 僕が思うのは「本来自分が持っていた感覚に気づかされる」ところです。知識がついて大人になっていくことで、僕らは子どものころの記憶を忘れているんですよね。でも、ぼのぼのがふいに放った言葉で、子供の頃に感じていた感覚を、「そういえばそうだった」と気づかされるんです。ふいに開いたページのメッセージが心に刺さったりするんですよ。今回のアニメは“間”がいいですね。マンガを読んでいる時の間と同じ感覚でアニメが見れたのは、ある意味、すごく説明がないと思っているんですよね。わかりやすくしているわけでもなく、再現性が高い。そのくらい僕にとっては自然に感じます。色味の感じもそう感じさせますね。

山口 作品を読み始める時には「こんな出だしなんだ」って感じるんですよ。それでボケやツッコミを経て、エピソードが終わるころには、いつの間にかすごいところまで話がいっている。『ぼのぼの』は落としどころの予想がつかないところが、すごい作品だと思うんです。各エピソードが読み終わったころには何か違う視点が手に入れられて、何かが得られるところが魅力。アニメも、「面白かった」と同時に「こういうことも考えとしてあるんだな」と何かが残るといいかなって思っているんです。

いがらし 20年前にもTVアニメがありましたね。このアニメは原作とは違う世界観なんです。なぜかと言うと、最初にあがってきたシナリオがどうも原作をなぞっている。無理をしないで、もう少し別なものを作ってください、と言っちゃったんですよ。イメージとして『トムとジェリー』でいいですよ、と。動きとアクションで子どもが楽しめるような作品にしたいということで、作られたアニメだったんです。今回のエイケンさんの『ぼのぼの』は、そういう意味では初めてのTVアニメ化だと思いますよ。桃野さんの感想からもわかりますが、原作とアニメにズレはないと思います。

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