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【独占】「本物を見ることができる衝撃は大きい」庵野秀明が筆者の取材に語ったMANGAナショナル・センター構想の希望と「物置化」を防ぐ解決すべき問題点

2015.12.24

■「オタクがやれば物置きができるだけ」との批判も

 ここまで記したように、どのような建物が出来上がるのかは、うっすらとは見える。ただ、庵野氏や里中氏が発言の中で求めたような国内外から多くの人が来場し感動する施設とするのか、課題は大きい。

 とりわけ課題になりそうなのは、アーカイブを運営できる人材がいないことだ。

 図書館問題に詳しい西河内靖泰氏(広島女学院大特任准教授)は「あくまで私見」と断った上で「現状の構想には、まともにアドバイスをできる人が関わっていないのではないか」と苦言を呈する。

「明治大学、京都精華大学あるいはマンガ学会がアーカイブに携わるべきではありません。明治大学は米澤嘉博コレクションを収蔵し図書館を設置していますが、マンガに詳しい学芸員や司書の養成に特化した過程を持っていません。まんが学部のある京都精華大学も同様で美術史研究をまともにやっている人すらいません。マンガ・アニメのアーカイブをオタクがやってはダメ、単なる物置ができるだけでしょう。既に実績のある浮世絵に携わっている人材を入れて協議すべきですね」

 アーカイブに対する夢と希望は限りなく大きい。加えて多くの人が善意と目的意識とを持って活動しているのはよくわかる。それでも解決すべき問題もまだまだ多いようだ。
(文=ルポライター/昼間 たかし http://t-hiruma.jp/

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