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「出るとこ出ましょうか」な日が来るなんて……報酬未払いにライターが挑む【幕開け編】

2015.10.01

・こちらからいろいろ、すぐに言わなくていい

 そもそも未払いトラブルは依頼元に説明責任がある。こちらが法律相談など法的な対策を立てていないうちにあれこれ言ったり、さらに証拠も残るメールをしてしまったら、あとから「あのときは、ああ言いましたよね?」などと言われて、自分の首を絞める可能性がある。

「答えていいものか迷いがある」「経験したことがなく、どう答えていいかわからない」「感情的になりそう」な事態なら「すぐには答えられない。専門家にも相談したいので時間が欲しい」でいい。このフレーズ、せっかちな人や押しに弱い人は日ごろから口ずさんでおきたいものだ。ただでさえ会社対個人なので、こちらは雰囲気にのまれやすい立場だ。即答できそうなこともすぐには答えない慎重さで、ちょうどいいと思う。

・新しい会社やプロジェクト、離職率の高い会社の仕事は特にリスキーだと覚悟する

 今回の依頼元は若めの会社で、人の入れ替わりが多いようだった。担当編集の人も、とても多忙で、大丈夫なんだろうかと心配していたが、こういう懸念は当たる。離職率をどう暴き出すかは難しいが、「○○さん(その会社のほかの人)お元気ですか?」などの質問で探り出したいところだ。

 私自身まったく実績がないころ、それでも信じて仕事を与えてくれた人たちに感謝しているので「歴史のある会社、大きい会社と仕事がしたい」という考え方はかっこ悪い、みっともないとすら思っていた。しかしこのトラブルのさなかにいる今の気分は「大きい会社、安心! 好き!」だ。公務員と結婚したい女性や東証一部上場企業しか就職先に狙わない学生の気持ちがわかった気がする。ゴリゴリの保守派になってしまった(もちろん大きい会社だからといってトラブルはゼロにはならないが)。

・規模の大きい仕事はポシャる可能性があると覚悟し、リスクヘッジをする

 大前提として、フリーランスである以上「依頼された仕事がポシャり、会社員と違って給料すら出ない」最悪の事態への覚悟は定期的にかみ締めておいたほうが、何かあったときのショックも違ってくる(気分は暗くなるが)。

 一方で、途中でポシャるような仕事は、ある程度規模の大きな仕事であり、チャンスでもあるのだ。しかしポシャる可能性が小さな仕事よりは高まる以上、小さい仕事を脇で積み重ねるリスクヘッジや、チャンス系の仕事に全身全霊をかけすぎないペース配分も重要だろう。

 私は昨年書籍を出している。無事出せたのは周りに恵まれていたのだということを、今回のケースで思い知った。処女作が今回のように頓挫したら、書籍の仕事や業界自体が嫌になってしまっていただろう。初めての仕事で、このようなケースに遭遇してしまう人が一人でも減ることを願いたい。仕事がきちんと終わることは当たり前ではなく、すごいことだったのだ。

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