「週刊少年ジャンプ」情報レビュー

「週刊少年ジャンプ」スピンオフ作品が小説から続々と登場?

2015.03.23

――発行部数約260万部(一般社団法人 日本雑誌協会発表)を誇る最強の少年マンガ誌「週刊少年ジャンプ」(集英社)。そんな「ジャンプ」の最新情報をさまざまな角度からレビュー!

週刊少年ジャンプ公式サイトより。

「週刊少年ジャンプ」(以下、「ジャンプ」)2015年17号の表紙と巻頭カラーは、連載3周年突破を記念しての『ハイキュー!!』だ。現在、『ハイキュー!!』では、「頂プロジェクト2015」と題して、さまざまな企画が動いている。14年に放送されたテレビアニメの劇場版総集編が前後編の2部構成での公開と報じられると共に、8月にはパシフィコ横浜での大規模イベント「ハイキュー!!祭り!」の開催が決定。さらに、舞台化も発表された。2014年のオリコンによる年間“本”ランキング「コミック・シリーズ別」では、『ONE PIECE』、『進撃の巨人』(講談社)に続いて、3位に君臨するほどの人気を見せた『ハイキュー!!』、その勢いは今後も衰えそうにない。

 今週の掲載順では『ハイキュー!!』に続いて、『ONE PIECE』『暗殺教室』『僕のヒーローアカデミア』『改造人間ロギイ』『食戟のソーマ』……と並ぶ。『改造人間ロギイ』は前号の中盤下位から浮上した反面、前号上位の『トリコ』は中盤下位に下落した。前号からは目立った動きのない掲載順となっていた。今号では、前号の読切に続き、永田光起による読切『どんどはれ』が掲載されている。

 公開中の実写映画版『暗殺教室』が「JUMP j BOOKS」(以下、「j BOOKS」)にて小説化され、本日発売。そこで、今号の注目は、「ジャンプ」作品の“スピンオフ畑”として確立しつつあるレーベル「j BOOKS」だ。「ジャンプ×ノベル」を掲げる「j BOOKS」は、「ジャンプ」連載マンガのノベライズ、及びオリジナル小説を「ジャンプ」のマンガ原作にすることを謳う。しかし、近年では前者、「ジャンプ」作品のスピンオフ的なノベライズが目立っている。今号でも、4月3日に発売される『ニセコイ』のスピンオフ小説『ニセコイ ウラバナ3』を一部先行公開。同様の試みは『NARUTO -ナルト-』のスピンオフ小説「秘伝」シリーズでもなされている。

 また、テレビアニメ放送目前の『食戟のソーマ』スピンオフ小説『食戟のソーマ~a la carte~』第3弾が4月に発売。こちらは、アニメの脚本家としても知られる伊藤美智子が筆を執り、小説を原作としたマンガ『食戟のソーマ L’etoile-エトワール-』が電子版「少年ジャンプ+」にて連載されている。同様に、『黒子のバスケ』や『ニセコイ』でも、“原作マンガ→スピンオフ小説→電子版でのスピンオフマンガ連載”という流れが出来上がっている。

 一風変わったスピンオフとしては、5月に小説・西尾維新、イラストレーション・中村光による『十二大戦』を刊行予定。こちらは、「週刊ヤングジャンプ」2015年6・7合併号に掲載された読切マンガ『どうしても叶えたいたったひとつの願いと割とそうでもない99の願い』の作中に出てくる題材を扱った作品と見受けられる。

 もちろん「j BOOKS」のオリジナル小説も存在するものの、集英社では昨年11月にライトノベルレーベル「ダッシュエックス文庫」を創刊しており、若年層をコアターゲットとした小説分野として、棲み分けも気になるところ。「j BOOKS」が「ジャンプ」作品の“スピンオフ畑”としてどこまで成長するか。今後の動向にも注目だ。
(雑誌やマンガ作品に関して、言及のない限り、版元は集英社。文中、敬称略)

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