「週刊少年ジャンプ」情報レビュー

山田涼介がいるから掲載NG!? デジタル版「週刊少年ジャンプ」にも影響を与えた、ネット上のジャニーズ画像規制

2015.03.16

――発行部数約260万部(一般社団法人 日本雑誌協会発表)を誇る最強の少年マンガ誌「週刊少年ジャンプ」(集英社)。そんな「ジャンプ」の最新情報をさまざまな角度からレビュー!

週刊少年ジャンプ公式サイトより。

「週刊少年ジャンプ」(以下、「ジャンプ」)2015年16号、表紙と巻頭カラーは今月21日より実写映画が公開となる『暗殺教室』。4週連続対談企画の3回目では、作者の松井優征と実写映画版の羽住英一郎監督が対談を行っている。加えて、今号では表紙のキャラ“殺せんせー”が喋るという一風変わった趣向も。これは、集英社が配信しているアプリ「殺せんせーの抜き打ちテスト」を使うと、スマートフォン上で表紙イラストの口が動くというもの。アニメ版の声優・福山潤の声で“殺せんせー”が喋ってくれて、ファンには嬉しい仕掛けとなっている。

 今週の掲載順では『暗殺教室』以下、『ハイキュー!!』『トリコ』、2号連続センターカラーの第2弾『僕のヒーローアカデミア』、『食戟のソーマ』……と続く。上位陣のラインアップに大きな変化は見受けられない。一方で、先週急浮上した『火ノ丸相撲』と、新連載第3回で好位置にいた『改造人間ロギィ』がかなり順位を落としている。新連載陣にもアンケートの結果が反映される頃で、今後の動向に注目だ。また、今号では読切『赤毛のアチョー!!』が掲載されている。

 今号の注目は、電子版である「少年ジャンプ+」にて購読できる、デジタル版「ジャンプ」に起こった変化について。これまでデジタル版では、本誌のマンガ以外の記事ページは掲載されなかった。しかし、今号では記事ページをデジタル版にも収録(一部未収録のものも)。さらに、デジタル版の読者アンケートでは「今後も記事ページは必要だと思いますか?」といった設問が設けられるなど、デジタル版への記事ページ収録を模索していることを伺わせた。

 一方、記事ページのデジタル化では、デジタル“ならでは”の事態も起こっている。先述の通り、今号には『暗殺教室』原作者と映画監督の対談企画記事を掲載。しかし、この対談記事内に掲載された、映画『暗殺教室』の場面写真3枚中2枚が、デジタル版では真っ黒に黒塗りされているのだ。

 通常、場面写真自体の掲載がNGであれば、すべての場面写真が黒塗りとなるはず。しかし、CGで描かれた“殺せんせー”が単独で写っている場面写真はデジタル版にも掲載されている。つまり、2枚の場面写真が黒塗りとなったのは、その被写体と関係があると考えられる。そして、この黒塗りされた2枚の場面写真にはいずれも、本作の主要キャラ・潮田渚を演じるHey! Say! JUMPの山田涼介が写っている。

 これまで山田が所属するジャニーズ事務所は、著作権や肖像権という観点から、所属タレントのネット上での写真や映像の使用を原則禁止にしてきた。しかし、2000年代後半頃より、映画やドラマの公式サイトなどでジャニーズタレントの写真が“解禁”。現に映画『暗殺教室』の公式サイトでも、山田の写真は堂々と掲載されている。しかし、これは公式サイトなどに限った話。というのも、映画情報サイトなどを見ると、映画『暗殺教室』の紹介ページに掲載されている場面写真には、主要キャラである潮田渚を演じているにもかかわらず、山田の姿は見受けられない。極めつけは、3月4日に行われた映画『暗殺教室』の完成披露舞台挨拶の様子だ。各メディアが報じたこの舞台挨拶だが、ネット上の報道写真にはこの日登壇した山田の姿は不自然なまでに写っていない。

 こうしたことを鑑みると、今回デジタル版「ジャンプ」で映画『暗殺教室』の場面写真が黒塗りとなった理由は、ジャニーズ事務所の方針に沿ったものだと考えられるだろう。この対談で、原作者の松井は「この映画を一番楽しめるのは、原作を読んでいる人」と語るなど、その再現っぷりに太鼓判を押している。それだけに、デジタル版「ジャンプ」で実写版キャラクターの写真を見られないのは残念に思うのだが……。

 そのほか、紙版の本誌では、ライバル誌「週刊少年マガジン」(講談社)について、「マガジン」の具体的な作品名を挙げて、アンケートを実施。こちらのあけすけなアンケートも気になるところだ。
(雑誌やマンガ作品に関して、言及のない限り、版元は集英社。文中、敬称略)

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