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~私は如何にして心配するのを止めてYUIMETALを愛するようになったか~ 第4章

BABYMETALの“メタルレジスタンス”を追う―その“完全燃焼”の少女は、二つの顔を持つ

2015.01.09

■喋る水野由結×何も喋らないYUIMETAL

水野由結とYUIMETALのそれぞれの立ち位置を表す、二つの雑誌がある。

 昨年の夏、さくら学院の新曲MVの付録DVDのために少女コミック雑誌『ちゃお』を日本で、BABYMETALの付録ポスターのために海外のメタル専門誌『METAL HAMMER』をイギリスで買った。どちらもレジで勇気が必要だった。特に『ちゃお』の対象年齢を考えると、31才は程遠い。レジに向かう際、自分自身に言い聞かしていた。

「違う、これは娘がほしがってるんだ、うん、私には10才になる娘がいるから、うん、そうなんだ、雨が降ってるから、お父さんが代わりに買ってきてあげるよって言ったんだ、うん、家で帰りを待つ娘のために、これを買うんだ、うん」

 偽りの設定を呪文のようにブツブツと唱え、レジに向かった。これは抵抗でしかない。ある意味、メタル“レジ”スタンスだし、赤面で顔はトマトみたいになった。この二つの雑誌に同一人物が載っているなんて、誰が信じるだろう。その振り幅こそが水野由結/YUIMETALをあらわしているのだ。

 12月7日、さくら学院の単独ライブ『さくら学院☆2014 Celebration in December』はKAAT 神奈川芸術劇場で開催された。『ちゃお』の側面・水野由結はここで“完全燃焼”する。

 会場内は着席スタイルで、サークルモッシュやウォール・オブ・デスが発生するBABYMETALのライブとはまるで違う。ファンは“父兄”と呼ばれ、まるで授業参観・文化祭・体育祭を観に来た親御さんのような紳士的眼差しでステージの女の子たちを見つめる。そして、私もその中の一人となる。結果、誰もが父兄にならざるをえなかった。

「夢見るこの想いは 輝くパズルのPIECE!」
『Hello!IVY』『Hana*Hana』『ハートの地球(ほし)』と、次々と夢・希望に満ち溢れた世界が描かれる。この世界にそんなものはまだ残ってるのだろうか、と俯く間もない。メンバーの煌めきが目に飛び込んでくると、その輝きを決して否定できない。一言で言いあらわすと「かわいい」が、そのかわいさの成分は「かっこいい」から出来ている。目頭が熱くなる。こんなに複雑で華麗なパフォーマンスのために、どれほどトレーニングに日数を重ねたのか。しかも日本と世界を行き来するBABYMETALと同時進行だなんて、スーパー中学生でしかない。完成されたステージが繰り広げられていく。

 それでも、水野由結は『未完成シルエット』の後、「まだこの『未完成シルエット』は未完成だと思うんですよ。だから3月までにもっともっと絆を深めて、“完成”した『未完成シルエット』の2014年度バージョンを届けられるように“顔笑る”ので、楽しみにしてください!」と語った。胸が熱くなる。正統派アイドルとして、誠実な姿勢でさらなる高みへ上りつめていく。その姿に一瞬、YUIMETALを忘れた。

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