~私は如何にして心配するのを止めてYUIMETALを愛するようになったか~ 第4章

BABYMETALの“メタルレジスタンス”を追う―その“完全燃焼”の少女は、二つの顔を持つ

――アイドルにまるで興味なかった。なのにどうして今、トマトが気になるのか。なぜ、YUIMETALが「頑張った後はトマトを食べたい」と発言してから、頑張った後にトマトを食べようとしているのか。これは、BABYMETALに身を捧げた31才男の“メタルレジスタンス”参戦の記録である。

1501_babymetal_4.jpg(イラスト/竹内道宏)

■少年よ、トマトを抱け。

 昨年末、ワン・ダイレクションのメンバー、ハリー・スタイルズがTwitterで「Baby metal.」とつぶやいた。

 たった一言で何気ないそのツイートは現時点、リツイート数が11万を超えた。レディー・ガガがアメリカツアーのオープニングアクトに呼んだだけでは飽き足らない。BABYMETALの知名度が、メタル界のみならずポップ界にすら及んでいる。

 私は「いや、Baby metalじゃなくてBabymetalですけど」とリプライを送りそうになったが、無事に踏みとどまった。その後、なぜか彼に倣って「Tomato.」と呟いてみた。リツイート数は0。私の中のYUIMETALの浸透度が、メタル界のみならず野菜界にまで及んでいた。

「おおおおーーーーー!!!うおおおおーーーーー!!!」
大丈夫、私は狂っていない。この絶叫はトマトのせいでもなく、そもそも私のものでもない。

 その声の主は、目の前に現れた少女3人のシルエットに向かって何度も叫ぶ。彼が持つカメラは揺れる。感情が映像に直結しているかの如く、1曲目が始まると天変地異でも起こったかのように上下左右に激震する。

 昨年11月、会場のニューヨーク・MANHATTAN CENTERは超満員で埋め尽くされた。あちこちから雄叫びが聞こえる。その先にBABYMETALが立っていた。叫んでいたのは、アメリカに住んでいる少年。金髪で整った顔立ちの彼は、フジテレビNY支社のBABYMETALに関するニュース映像の取材で「YouTubeで見てかっこいいと思ったんだ」と答えていた。その後、私は偶然彼のYouTubeアカウントを見つけ、そこにはBABYMETALについて熱く語っている動画と、彼が撮影したライブ動画があった。『BABYMETAL DEATH』で人々が一斉にフォックスサインを掲げ、腕をクロスする。その光景をすべてYouTubeで見たのだ。

 海外公演は多くの観客が勝手に撮影し、勝手にアップロードしている。それを遠く離れた日本で再生するという、現代的な事象が数多く起きている。それぞれのファンのフィルターを通した映像はその撮影者の想いも入り混じり、公式の映像では醸し出せない臨場感があるのだ。

「Next week, I’m going to NY to see BABYMETAL.」
ライブの数日前、少年は動画の中でうれしそうに語っていた。その目に“BABYMETAL”はどう映るんだろう。彼の部屋の壁に映画『キック・アス』のポスターが貼られている。少年にとってBABYMETALはこの映画のヒロイン・ヒットガールのようなものだろうか。炎の中を全速力で駆け抜ける。ジャンプキックをかます。世界を席巻する。まるでアクション映画のヒロインのような魅力をYUIMETALに感じている私としては、少年に多大なるシンパシーを覚える。

 ライブを撮りながら叫んでいる少年を見て、世界は繋がっている気がした。こんなに遠くの地に住む、歳の離れた少年と同じ気持ちになれるなんて。“メタルで世界を一つにする”というBABYMETALの目的は果たされつつある。たとえ歌が日本語でも、“BABYMETAL”という共通言語はパフォーマンスと演奏で伝わっていた。

 この少年がやがて動画の中でTomatoをかじり始めたら、もはや世界は完全に一つになる。しかし、そのためには“Sakura Gakuin”に行き着く必要がある。そこでオフィシャルブログ“Gakuin Nisshi”に触れなければ、YUIMETALの好きな食べ物がトマトであることを知る由もないだろう。

 少年が「Tomato.」と呟く日は、そう遠くない。私は日本に生まれてよかった。なぜなら、10時間以上飛行機に乗らなくてもBABYMETALの母体グループ・さくら学院のライブを観に行ける。そこでYUIMETALのもう一つの顔、“水野由結”を目撃することができるからだ。

LIVE AT BUDOKAN~ RED NIGHT

LIVE AT BUDOKAN~ RED NIGHT

うおおおおトマトおおおおおお!

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