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「第15回広島国際アニメーションフェスティバル」【番外編】

「日本人のほうにギャップを感じる」『日本のアニメは何がすごいのか』著者・津堅信之に聞いた“アニメ”と“アニメーション”区別の重要性 

2014.09.20

 一方で、日本で“アニメ”と“アニメーション”を同列に審査しているものとしては、文化庁メディア芸術祭が知られている。

津堅「言葉を使い分けているなら、“アニメ”と“アニメーション”両方の作品が出展されていいと思うけど、それを同じ賞の中でくくるのか、違う賞に分けるのかというのは議論の余地があって、僕は自身の好みとしては同じにしたい。だけど広島は、日本の“アニメ”がまるで出展されてない。今回は『寫眞館』(なかむらたかし監督)がプログラム『現代日本のアニメーション』の中に入ってるけど……(『現代日本のアニメーション』は第9回(02年)からのプログラムであるが、毎回“アニメ”ではなく“アニメーション”が多い)。

 ここは広島国際アニメーションフェスティバル・ディレクターの木下小夜子さんが、完全に普段は日の当たらないというか、そういう『短編“アニメーション”のためのイベントにしたい』『作家たちの集いの場にしたい』という形式なので、それはそれでいいんだけど、やっぱり“アニメ”作品もコンペティションに入れたい」

 広島では、過去には会期中毎日、日本の“アニメ”を特集していたこともある。第4回(92年)は主に『ドラえもん』『それいけ!アンパンマン』『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』『らんま1/2 熱闘編』などのテレビシリーズ、第5回(94年)は主に『銀河鉄道の夜』『となりのトトロ』などの長編を扱っていた。

津堅「中ホールで日本特集として、専ら商業“アニメ”をやっていた。しかし、垂れ流しなので多分うまくいかなかったのかもしれない。カギとしては、コンペティションとして“アニメ”を入れること。パノラマ的なプログラム(ノミネートされなかった作品や招待作品を上映する枠)でやるといっても、商業“アニメ”は海外から来る客はみんな知ってる。しかし、コンペティションだったら意味合いが変わる。もっというと、広島国際アニメーションフェスティバル自体が広島市民に知れ渡ってないので、“アニメ”や長編を受け入れることでディズニーとかピクサーの長編も出品されるだろうから、コンペティション自体をアピールする場になると思うのに」

 一方で、04年(第10回)、06年(第11回)、08年(第12回)の時期には「広島アニメーションビエンナーレ」が併催されたこともある。フェスティバルとは別会場で会期も長く、企業、市民の立場から「アニメーションによる町興し」を目指す一環として、日本の“アニメ”をメインにしていたイベントだった。この運営のために広島経済同友会は基金を設立していたが、08年末に中間法人法が廃止されたことを契機に、基金の法人は解散となった。

津堅「長編賞の話を前にチラッと木下さんに話したことがあるけど、『色々言ってくる人がいるけど、今で手一杯なのよ』って言われてそれで終わり。日本は世界に冠たる長編大国なので、海外から長編が出品されて、広島での長編賞受賞がステータスになるっていう形のものが好ましいなと。今年から始まった東京アニメアワードフェスティバルに長編賞があるとはいえ残念。広島でやってほしかった。(ほかの4大アニメーションフェスティバルの)アヌシー、ザグレブ、オタワにも長編賞はあるけど、やっぱり日本でやる意味はあると思う」

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