【新連載】40代からの萌え入門 第1回

生々しい戸松遥と井口裕香の息づかいがたまらない!女の子のキスと繊細な心理描写を楽しむ『桜Trick』の魅力

2014.04.03

――この連載は、30代後半から萌えアニメにはまったアラフォー(44)ライターが、萌えアニメについて気持ち悪く語り倒す誰得コンテンツです。分析・評論的なことは一切書きません!

(イラスト/安田三号)

 昭和44年生まれの僕はガンプラ世代ど真ん中。中学時代は「アニメージュ」「アニメック」「ファンロード」「アウト」を購読する結構なアニオタ(当時はそんな言葉ありませんでしたが)でした。特に『イデオン』『ザブングル』『ダンバイン』『Zガンダム』と続く富野作品と、『うる星やつら』にはかなりのエネルギーを捧げていました。

 しかし、高校2年の時に「オタクは女にモテない」というシンプルな理由から一切足を洗い、購読誌を「宝島」と「シティーロード」に変え、サブカルにジョブチェンジします(今で言う「サブカル」はアニメ趣味なども含まれますが、当時のサブカルはその対極にありました。このへんはめんどくさいのでまたいずれ)。

 それ以来ほぼ20年間、『エヴァンゲリオン』以外のアニメを一切見てなかったのですが、2003年に友だちから薦められたノベルゲーム『ひぐらしのなく頃に』、ラノベ『涼宮ハルヒの憂鬱』あたりでオタ的コンテンツに再び触れるようになり、アニメ『らき☆すた(2007)』で完全に萌えアニメに目覚め、以後は毎クール平均20本のアニメを試聴するアニオタ(萌え豚)にカムバックしたのです。

 と、うっとおしい自分語りはこれくらいにしましょう(もうやりません)。

 さて、今回取り上げる萌えアニメは先週最終回をむかえた『桜Trick』です。

 主人公の高山春香(CV:戸松遥)は、おさななじみの園田優(CV:井口裕香)ちゃんが大好き。その大好きっぷりは度を超しており、優ちゃんが他の子とおしゃべりするだけで不機嫌になり優ちゃんにSBJK(嫉妬深い女子高生)と言われちゃうレベル

 そこで春香は優ちゃんに提案します。

「普通の友達とはしない特別なことしよ?」

 特別なこと? なんでしょうか。プレゼントとか? いえいえ違います。

 それは、「キス」なのです。

 ということで、1話Aパートから、ヒロイン同士のキスシーンがおっぱじまります。それもほっぺに「チュ!」的な軽いものではありません。ガチなディープキスです。

 このキスシーンこそ、このアニメの一番の売り。1話だけではなく毎話必ずキスシーンが入ります。キスするのは、基本的にはメインカップルである春香と優ちゃんなのですが、サブヒロイン・野田コトネ(CV:相坂優歌)と南しずく(CV:五十嵐裕美)のカップルも、かなり頻繁にキスします。

 しかもその描写がすごい。1話ではさすがに遠慮したのか(比較的)おとなしめですが、4話あたりからは、スタッフもタガが外れたのか、舌は入れるは『謎の彼女X』ばりによだれは糸を引くはで、エスカレートする一方です。画面も、唇のアップだけではなく、ギュッと恋人繋ぎした2人の手、腕がまわった腰、小刻みに震える肩、太ももなどを執拗に描写します。

 さらにすごいのは「声」。通常のキスシーンでは記号的な「チュッ」「チュパ」的な音を出すのが普通なのですが、『桜Trick』ではおそらく意図的にそのような音は出さず、ひたすら「んぐっ」「くぅ」「っふ」といった生々しい息遣いのみで演技をしているのです(しかも、演っているのが声優の戸松遥と井口裕香というところがたまりません!)。

 これがとにかく、エロい!! 春香の心拍数にあわせて、自分の下半身も固有振動を開始しそうになります。

 だ・が・ち・が・い・ま・す!

 この作品のよさは、断じてエロだけではないのです!

「キス」をするという行為は、あくまで結果でしかありません。ふとしたことで2人の気持ちが昂まり、お互いに求め合うキスに至るまでの経過、“女の子同士でこんなことしちゃってるわたし変?”という葛藤、“でもしたい、しちゃう”という弱さ……。こういった繊細な描写にモキモキすることこそが、この作品の真の楽しみ方なのです。

 この点が、同じキスシーンを描きながらも、そのきっかけのほとんどが“うっかりつまずいて押し倒す”、“うっかり入浴中の扉を開いてしまう”的なラッキースケベである、ハーレム系アニメとの大きな違いです。

 また、2人は決してキス以上の行為に発展することはありません。それをやってしまうと、百合エロゲになってしまいます(個人的には、それも大好きですが……)。あくまで“女の子同士のイチャイチャがエスカレートしたもの”といった位置づけが、絶妙なのです。

 そう……彼女たちのクラスメイトのモブキャラ(もちろん女子)になったつもりで、みんなのイチャイチャをニヤニヤ鑑賞することで、女の子と会話することもほとんどなかった暗黒中高生時代の記憶を上書き消去し、おじさんは癒されるのです。

 と言いつつ、僕の一推しキャラは、キスシーンとは無縁のしっかりもの池野楓(CV:渕上舞)ちゃんなのですが……。

●田口こくまろ
1969年生まれ。ネット・雑誌で主に海外旅行、音楽、アニメ、グルメ、エロなど雑多な記事を手がけるサブカルライター。アダルトライター安田理央と共著で『45歳からのアニメ入門』をkindleで配信。田口和裕名義でITライターもやってます。
『45歳からのアニメ入門』http://www.amazon.co.jp/o/ASIN/B00EBZHGXE
amazon著者ページhttp://amzn.to/hvm19A

編集部オススメ記事

注目のインタビュー記事

人気記事ランキング

PICK UP ギャラリー