児ポ法改正案の審議前に振り返る 2013年表現規制をめぐるさまざまな動きまとめ
2014.01.02
[5月]
・「実在児童の人権擁護基金」が院内集会を開催。
10年に東京都青少年健全育成条例改正問題を機に集まった人々が、「非実在青少年」ではなく、「実在する青少年(児童)」の人権を擁護するために何ができるのかを議論する中で生まれた組織・実在児童の人権擁護基金が、参議院議員会館で院内集会「“子どもシェルター”における児童保護の現状」を開催。
平日の金曜日午後という時間帯のせいもあったが、参加者は20名あまりと、かなり少なかった。漫画やアニメの規制など、実際に自分の利益が侵害されそうだと「児ポ法改“悪”反対!」の旗を掲げるが、結局は“実際の児童虐待になんか興味ないよ”というのが「規制反対派」とカテゴライズされる人々の本音なのか、と考えさせられる場面であった。
・NPO法人うぐいすリボンの呼びかけで全国各地で「表現の自由」をテーマにした集会が開催。
「表現の自由」の問題を考えるNPO法人うぐいすリボンが、全国各地で集会を開催。うち5月17日に参議院議員会館で開催された集会では、児童ポルノ法改定案への危機感もあり100名あまりが結集。ただ、100名あまりが参加したにも関わらず利害関係にある出版・アニメ・ゲームなど業界関係者の参加が少なかった。また、マンガ家に至っては元マンガ家がいた程度で、今後の運動の広がりに危機感を感じさせた。
5月18日、NPO法人うぐいすリボンによる「京都府児童ポルノ規制条例 解説講演会」が、刑法学者の髙山佳奈子京都大学教授を招いて開催される。講演会において、規制強化への疑問を示すために高山教授は、自らの1歳半と8歳の時の「全裸写真」を公開。会場に「誰得……(失礼!)」な空気を流した。
5月22日、アダルトビデオなどの倫理審査に携わる業界団体(映像倫理機構、ビジュアルソフト・コンテンツ産業協同組合、日本映像ソフト・制作販売倫理機構、東日本コンテンツ・ソフト、全日本ビデオ倫理審査会)が、審査の統一に向けて動き出すことが発表された。
4月から騒動になっていた児童ポルノ法改定案だが、ほかの重要法案の審議が優先されたために、なかなか提出されず。結局5月29日に、自民党、公明党、日本維新の会が共同提出したが、審議は来年に先送りされた。
児童ポルノ法改定案提出を受けて、業界団体からの声明も続々発表される。
これまで「連絡会」という建前ゆえに表現の自由をめぐる運動では裏方に徹していた全国同人誌即売会連絡会も、児童ポルノ法改定案に反対を表明。危機感の高まりを感じさせた。