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巨大ロボットがダイナミックに大暴れ! 幻の韓国アニメ『テコンV』が日本公開

2013.09.01

ずっこけギャグで笑いを誘う”ヤカンくん”。日本の懐かしのアニメ『ロボタン』に似ているとの声も。

 大畑氏がトホホ映画の世界に魅了されるようになったのは、キム監督のもうひとつの代表作『スペースガンダムV』(83)をビデオで観たことがきっかけだったと語る。

大畑 ”ガンダム”とタイトルに謳ってありますが、登場する巨大ロボットは『超時空要塞マクロス』(82年/TBS系)のバルキリーにそっくり(笑)。バルキリーが巨大ドブネズミと戦うというストーリーがあまりにインパクトが強烈で面白く、トホホ映画の虜になってしまった。既視感のあるキャラクターたちなのに、オリジナルの設定と全く異なるご当地ならではの発想とストーリーに変わっているというギャップが大きく、新鮮な魅力がありました。『テコンV』シリーズで、やはりキム監督の『テコンV90』(90)という作品があるのですが、これはドラマ部分を俳優が演じ、ロボットの登場シーンだけアニメになるという実写とアニメの融合作品。ストーリーは第1作『テコンV』とほぼ同じで、美少女アンドロイドをキュートな金髪(かつら)女優が演じているほか、背が低く頭が大きいことを学会で笑われたことがトラウマになった悪の博士もアニメとまんま同じキャラクターの男優が演じています。一生懸命に作られている作品なんですが、やっぱり何処かオカシイんですよ。客観的に見れば、アニメ作品としてのクオリティーは決して高くはありません。でも、いちばん大事なのは、キム監督の作品はバカバカしい部分も含めて、”ストレートに面白さを追求している”ってことなんです(笑)。

 大畑氏は庵野秀明氏の監督デビュー作『トップをねらえ!』(88)にロボットデザイン担当として参加している。『トップをねらえ!』はさまざまなアニメ作品のパロディーだが、庵野監督のクリエイターとしてのセンスが溢れ出した作品でもある。創作という行為は、多種多様な要素が影響しあって進化していくもの、というのが大畑氏の持論だ。

大畑 物を作るということは、何らかの影響を受けたからできるものであって、全くのまっさらな状態から物が生まれることはまずありません。『スター・ウォーズ』(77)が公開され、世界中でそれこそ有象無象に『スター・ウォーズ』のイミテーションが作られました。でも、だからといって『スター・ウォーズ』の価値は下がっていない。同じように『マジンガーZ』の原作者である永井豪先生も、フランスをはじめ世界中で絶大な人気を誇る偉大な作家です。韓国では国全体で『テコンV』を盛り上げ、実写化リメイクの企画も進んでいるそうですから、負けずに日本でも、永井先生原作のダイナミック系ロボットアニメが国家レベルで評価されてほしいですね。その上で、マジンガーZとテコンVが対決したらどうなるんだろうとか頭の中で考えると楽しいじゃないですか(笑)。

悪のロボット軍団を結成したカープ博士。頭が大きいことを学会で笑われたことから世間への復讐を誓うのだった。

 もうひとり、ユニークな情報バラエティー番組として人気を集めた『鈴木タイムラー』(04~05年/テレビ朝日系)のプロデューサーを務めたカン・ヨンミン氏にもコメントを求めた。カン氏は71年韓国生まれ、少年期に『テコンV』シリーズをリアルタイムで観ていた世代だ。

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