警察もびびった 2カ月で逮捕者数千名!韓国で二次元規制をしたら、こうなった!

2013.09.05

『非実在青少年〈規制反対〉読本』

 2012年、韓国では2000人あまりが「児童ポルノ」を所持した容疑で検察行きになっている……。「児童·青少年の性保護に関する法律(アチョン法)」が原因だ。児童ポルノ法改定による所持の禁止と二次元規制への機運の高まる日本。実際に、そんな法律が実施されたら、どんなことになるのか、もう既に結果は見えている。

 問題となっているアチョン法は2011年に、子供を対象とした強姦殺人事件が相次いだことを契機に制定された法律だ。

 この法律は第二条で

第4項
“児童・青少年の性を買う行為” は児童・青少年、児童・青少年の性を買う行為を斡旋した者または、児童・青少年を実質的に保護・監督する者などに金品やその他の財産上の利益、職務・便宜提供など代価を提供したり約束して次の各項目のいずれか一つに該当する行為を児童・青少年を対象に行ったり、児童・青少年をしてせしめることを言う。

1. 性交行為
2. 口腔・肛門など身体の一部や道具を利用した類似性交行為
3. 身体の全部または一部を接触・露出する行為で、一般人の性的羞恥心や嫌悪感を起こす行為
4. 自慰行為

第5項
“児童・青少年利用淫乱物” は児童・青少年または、児童・青少年と認識されうる人や表現物が登場し、第4項のいずれか一つに該当する行為をしたり、その他の性的行為をする内容を表現するフィルム・ビデオ・ゲームまたはコンピュータやその他の通信媒体を通した画像・映像などの形態になったものをいう。

 と、記している。「一般人の性的羞恥心や嫌悪感を起こす行為」とは極めて曖昧だし「児童・青少年と認識されうる人や表現物」が処罰対象になるので、捜査当局の胸先三寸で処罰対象が決まってしまう恐れもある。韓国の有力紙『中央日報』によれば2012年の10~12月の2カ月間だけで「児童・青少年わいせつ物所持・流布者」をダウンロードしたなどの理由で数千人が摘発されたという。これは2012年の5~10月の「児童わいせつ物事犯」、1758人をはるかに超えているという。

 そもそも、基準も曖昧であるし創作物も入る。それゆえに、日本語翻訳者や学生や市民まで、あらゆる人が逮捕される事態になってしまった。しかも、逮捕理由は実写のAV(女優がロリっぽく見えるモノ)からマンガ、ゲームまでなんでもありというから恐ろしい!

「韓国の警察当局は、ネット監視を重視して、“児童ポルノ”と疑わしいものにアクセスしている人々を検挙する方針をとりました。その結果、数千人が取り調べを受けることになってしまいました。ところが、あまりに大勢の人間を検挙したために、取り調べも起訴もとても手が回らなくなってしまったんです。そのために警察当局からも、『法律がオカシイ』という意見が出るようになってしまいました」

 と、話すのは表現の自由の問題を考えるNPO・うぐいすリボンの荻野孝太郎さんだ。

 しかし、警察当局すら困惑する、この法律で被害に遭っている人はなお多い。そうした人々を対象に、弁護士を派遣し訴訟支援を行うNGO・オープンネットも立ち上がっている。そして、ついに韓国の国会でも、この法律が社会問題として取り上げられ、法律を修正すべきという意見が多数派になろうとしている。もしも、日本で児童ポルノ法が改定され、所持の禁止、さらには二次元規制が行われたらどうなるかを如実に示す事例だ。

 来たる9月6日には、NGO・オープンネットの理事を務める高麗大学教授で韓国放送通信審議会委員の朴景信氏が来日し、この問題についての講演も予定されている。繰り返すが、韓国の事例は日本の表現規制を考える上でも重要なモデルケースだ。不幸になる人間をこれ以上、増やしてはならない。
(取材・文=昼間 たかし)

【講演案内】
「韓国・児童青少年性保護法(アチョン法)による創作物規制の波紋」
http://www.jfsribbon.org/

講師:朴景信さん (高麗大学教授/韓国放送通信審議会委員)

東京会場:(要申込)
日時:2013年9月6日(金) 13:00~15:00
場所:文京区シビックセンター26階・スカイホール
申込:http://kokucheese.com/event/index/107103/

京都会場:(要申込)
日時:2013年9月7日(土) 19:00~21:00
場所:キャンパスプラザ京都 第4講義室
申込:http://kokucheese.com/event/index/107111/

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