NHKアニメ『ヴィンランド・サガ』無敵すぎるアシェラッドへのジレンマ…トルフィンはどれほど命を削ればいいのか?第9話
2019.09.03
アマゾンプライムにて世界配信が決定、そして日本ではNHKでの放送となるとどれだけ力の入ったアニメ化だということが伺われる『ヴィンランド・サガ』第9話がオンエアされた。
第9話 ロンドン橋の死闘
西暦1013年10月、スヴェン大王は、
デンマーク・ヴァイキング主力艦隊を率いてイングランド領地・ロンドン橋陥落を目論む。
デンマーク軍に雇われたアシェラッド兵団もその中にあった。
圧倒的戦力を誇る「のっぽのトルケル」がイングランド側に寝返ったことにより、ロンドン橋は難攻不落の要塞と化し、戦況は停滞を余儀なくされていた。
トルケルの首をとってくれば決闘をしてやるとアシェラッドに言いくるめられ、トルフィンは単身敵軍に乗り込む。
都市名が色々出てくるが、一瞬なので地理や時間軸が把握しにくい。アシェラッド兵団は色々な軍に雇われて戦っているようだ。
今回はデンマーク軍に雇われて戦地に向かう軍団の面々。トルフィンはいつだっていいように使われている様子。今回も、戦地の首を取ってくれば決闘に応じるといういつもの約束をちらつかされたことにより、単身で乗り込むことに。
先発した部隊がことごとくやられていくロンドン橋。ここを守るトルケルという男が恐ろしいほど強い。大きな岩を投げ込んだり丸太を振り回して船を追払うなど、豪快に人を殺していく姿に恐怖を覚える。
そんな相手に、トルフィンはたったひとりで立ち向かう。屈強なアシェラッド兵団の面々すら逃げるしかなかった相手に臆することなく立ち向かう。
トルフィンのナイフがトルケルの手首を貫いたり、指を切断したりと目を覆いたくなる描写が多いが、すさまじい迫力だ。あの泣くだけしかできなかったトルフィンが、座った目で敵を捕らえて飛び込み、血をみても相手が威圧的でも怖がることすらなく突き進んでいく姿。人の変わる様を見せつけられた。
結局のところ、トルケルを討ち取ることはできなかったが、アシェラッド兵団のもとに帰り着くことができたトルフィン。外れた肩と折れたあばら、ひねった足など満身創痍ながらもアシェラッドのもとにいることを望む。
それは父の仇を討つというその一念だけである。しかしアシェラッドは強い。トルケルに重傷を負わせることはできても、こんなに近くにいるアシェラッドにはかすり傷ひとつ負わすことができないジレンマ。
決闘という形にこだわっているが故なのだろうけれども、その望みが叶うまでに彼はいったい何度アシェラッドの命じる戦いに身を投じねばならないのだろうか。
元々トルフィンは戦や争いごとを好む質ではなかっただけに、戦いや争い、血を好むアシェラッド兵団の面々に嫌悪感を持ちながら行動している。この葛藤がどのように発散されるのかが見ものである。
デンマーク軍ではとある男が戦地に赴くことが決定された。その人物が今後トルフィンにどのような影響を与えてくるのか。物語は新しい展開に突入しそうだ。
(文=三澤凛)