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裏話満載!『AKIBA’S TRIP-THE ANIMATION-』制作Pインタビュー(後編)

2017.04.09

――遊べるところは遊ばないと気が済まないんですね(笑)。

奥山 本当にそんな感じですね。視聴者からは「モブは手を抜いてる」と言われていて、私はずっと「手を抜かなきゃいいのに」って思っていたんですけど、あるとき撮影の林コージローさんに「モブで笑わせようとしてるだけじゃん」って言われて気がつきました。作画をちゃんとやるところはやるし、遊べるところは遊ぶ。モブは普通に描いたらなにも引っかからないから、引っかからせるために面白くしたいっていう、監督なりのこだわりなんだろうなと思います。

――モブのこだわりにもひと悶着あったんですね(笑)。5~6話では続けて「データイーストコーポレーション」の『トリオ・ザ・パンチ』というマニアックなゲームのネタが登場しました。『トリオ・ザ・パンチ』には、「羊の呪い」という名前のステージがあり、ボスを倒したら「呪ってやる」というメッセージが出てきて主人公がピンク色の羊になってしまうという設定があるんです。パロディとしてはすごくストレートですが、元ネタがマニアックだった点には思わず笑ってしまいました。

奥山 データイーストのゲームに関しては、池畠監督が好きでネタを入れたがっていたんです。やっぱりマニアックですよね。一部の人には楽しんでもらえているんだろうなと思いますが(笑)。

■奥山さんお気に入りのキャラ&シーンにも秘話あり!

3話「アイドルデビューできると聞いて、ホイホイついていった結果」劇中カット

――では、次にお気に入りのキャラクターとシーンについてお聞かせください。

奥山 まとめ、伝木凱にわか(演:高野麻里佳)、有紗・アホカイネン(演:長久友紀)のメインは3人ともかわいくて人気がありますが、スタッフ間で人気なのはやっぱりマヨ(万世架まとめ)かなぁ。3人以外だと汐田伊緒(演:芹澤優)ですかね。彼女にもエピソードがありまして、絵コンテが上がってきてから細かい設定を考えたんです。ちゃんと歌わせなきゃいけないから曲をちゃんと用意しなきゃいけない、口とパクを合わせなきゃいけない、振り付けとかもタイミングを合わせなきゃいけない、などなど。

 ただ歌唱指導に関して、アイドルユニット「i☆Ris」のメンバーとしても活動している声優の芹澤優さんをゲストに呼んでいるにも関わらず、池畠監督が「もう“ルルル”と“ラララ”でいいです」ってテキトーなことを言うからみんなざわついていましたね(笑)。

――武道館を埋められる人なのに(笑)。でも名前がまず「塩対応」じゃないですか。演技まで含めて「一貫しているなあ」と思いましたが、最初はかなりしっかりやる気で考えられていたんですね。監督の采配の妙ですね。

奥山 そうなんですよ。完成したものを見て「これでよかったんだ」って思いました。握手会イベントのシーンで、冷たい態度をとっている感じが面白かったですね。とはいえ制作している間は完成図がどうなるのか、もうハラハラでした! ただ今回は池畠監督が今まであたためていたネタを全部出し切ったぐらい出し切ってくれたらしいので、思い残すことはないくらいの作品になったんじゃないかなと思います。

小川完(タモツ)さんが描いたカット

――そこまでの熱量でやっていれば、毎回毎回ツッコミどころが噴出しますね(笑)。

奥山 そうですね。ツッコミどころ満載のアニメになってよかったなって思います(笑)。お気に入りのシーンは2話のバトルをはじめ“小川完(タモツ)さんが描いたカット”。彼の描いた勢い重視のカットは必見ですよ。2話では店長の腕の上を走るシーンは作画やパースに対するネタとして作っていて、池畠監督がTVアニメ『キルラキル』の蟇郡苛というキャラで“どれぐらいまでなら違和感なく見られるのか”を試したそうです。そこで「どれぐらい大きくなってもたぶん大丈夫だからこれでやろう」ということで2話のアクションシーンができあがりました。

 結果として、そのシーンに対する反応が「勢いが作画を凌駕している」っていうものだったのでうれしかったです。この勢いがあるからこそ、池畠監督は大丈夫って言っているんだなと安心しました。ちなみに、設定にもちゃんと「大きさはシーンによってはバラバラです」って書いてあります(笑)。

 ほかにもアニメーターで参加している朴性厚さんという方がすごく上手くて、オープニングの朴さんから佐々木(政勝)さんへのバトンタッチの流れが私は一番好きです。マヨが敵の服を脱がした後にタモツが4、5人ぐらい連続で脱がしていく、そのタイミングがすごく好きなんですよ。若干タメを作りつつインして、1枚2枚と脱がしたあとに勢いをつけてバッバッバッと3枚脱がすんです。あのリズム感がすごく好きで、オープニングを見てあのカットで鳥肌が立ちました。感動して誰が描いたのか聞いたら朴さんで「やっぱりな!」と(笑)。

 そのあとに爆発して、爆風で手が持っていかれるカットが佐々木さんなんです。『それが声優!』でキャラクターデザインを担当していただいて、エフェクトがすごく上手い人なんですが、この二人のバトンは本当に豪華だと思っています。監督や脚本家はもちろん、アニメーターに至るまでスタッフ全員の熱意が作品に込められているので、ネタを探すことも、お話としてのまとまりも楽しんでもらえていたら幸いです。

OPシーン

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