『にーはいせっくす』(大嘘) 作者の類い希なる脚フェチが凄い。でも、マンガの技術はもっと凄い!
2016.06.01
大嘘『にーはいせっくす』(文苑堂)は、発売開始と共に、えらい話題を集めている一冊。その話題の理由は、ひとえに脚フェチ。それもニーソックスを着用した美少女にこだわりまくった作品のみを収録していることだ。
表紙からして作者が脚フェチなのが一目瞭然の一冊。ページをめくれば、足コキだけでなく、ニーソックスを使った手コキなど、脚とニーソに拘ったプレイが次々と繰り出されていくのだ。
収録された10編の作品(うち、1作品は描き下ろし)は、それぞれストーリーもあるのだけれど、重要なのはそこじゃない。だって、あらゆるページで最高の角度から、脚とニーソックスと絶対領域とを、これでもかというくらいの迫力で見せてくれるからだ。
あとがきで、作者は複数の出版社や雑誌から、このシチュエーションでの依頼があったことの喜びを隠すことができない様子。「これからはもっとフェチ要素てんこ盛りでいくつもりです」と、まだまだ自分の脚フェチ、ニーソフェチはこんなものじゃないという熱い想いを吐露している。今回の収録作で見事なまでにベストな構図を描き、欲望のすべてを原稿に叩きつけた感があるのだが、まだまだホンの一部らしいことにビビる。
この構図の見事さがどれだけ見事かといえば、例えば冒頭の収録作『Erogenous Zone』。この作品中に、ヒロインが絶頂する瞬間、潮を吹くコマがあるのだけれど、このシーンの構図がビビる。
まず、白い下着はつけたまま。そして、コマの左ハジギリギリのところに黒いニーソがホンの数ミリだけ描かれている。
すなわち中心から、薄いトーンが張られた下着→白い太もも→ニーソと見事なコントラストで脚を描いているのである。これ、凡人ならば重要なのは潮噴きの部分と解釈して、ニーソまでは描かないハズ。さまざまな写真やデザインの世界でも、画面のどこでトリミングするかはセンスを問われるわけだが、このセンスが天才的なのである。続く収録作『knee high Date!』では、ヒロインが白ニーソを着用してエッチするシーンがあるのだが、こちらはトーンを絶妙に使って、白い太ももや、尻と白ニーソとの対比を演出している。
不思議な感動に包まれながら興奮できる作品が続くのだが、そうした中で気づいたのが、どの作品でも多用されるバックからの構図。すなわち、尻から前後の穴もちゃんと見えて太ももも見える構図。これには、また驚いた。
これまで、ニーソックスの魅力を感じるのは正面からだったのではなかろうか。ところが、この作者は発見していたのだ。スカートをめくりあげてバックからの眺めれば、もっとエロいのだと。
その興奮を、もっともダイレクトに教えてくれるのは表紙イラスト。表紙のオビを外すと「この角度だー!」というのが一目瞭然。
単に脚フェチの変態じゃない。この作者が描いているのは、確かにエロマンガ。でも、単にエロマンガ読者だけに読ませるのはもったいない技術を見せてくれる。
(文=ピーラー・ホラ)
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