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元祖の地で考えた 誰にも真似できない「聖地巡礼」とは──

2016.06.10

 こうして、深夜ようやくたどり着いたのは、日本における「聖地巡礼」の元祖的存在といえる玄関口・新宮。

看板のほかは誰一人歓迎する人も……いや、人影も少なかった
ここも吉宗で町おこしをはかっている様子

 乗る予定のバスは、午前6時前に出発である。なので、バス停の前で横になることにする。深夜の地方都市である。ゆえに、いくら地域のターミナルとはいえ、誰もいなくて静かに眠ることができるのでは、と思っていたら甘かった。タクシーがずっとエンジンを吹かして、駅前のロータリーに待機しているのである。しかも、一人なぜかハイテンションで独り言をいっている運転手が。加えて、得体の知れない虫が集ってくるという、快適さとはほど遠い仮眠である。

 そんな苦しさも、やがて終わる。

朝イチのバスは新宮特急。このまま乗っていれば、遙か奈良県まで行ける

 定刻通りにやってきたバスは、ほかに乗客もいないまま、山の中を本宮へと向かっていく。途中、筆者は湯ノ峰温泉で下車することを決めた。ここにある、日本最古の公衆浴場「つぼ湯」に入ってみようと思ったのだ。

雰囲気はあるが世界遺産っぽいかどうかは微妙

 この温泉、かつて地獄から餓鬼の状態で甦った小栗判官が、多くの人の助けで熊野に至り、この温泉で蘇生したという伝説のあるところ。一度に一組しか入浴できないので、待たなくてはならないのかと思いつつ、窓口で700円を支払えば「すぐに入れますよ」という。

世界遺産だけど意外に中は新しい

 なんでも、今日は筆者が一番。それはさい先がいいな、と鼻歌を歌いながら、つぼ湯へ。

 待っていたのは熱湯であった。

 指先を入れただけで「アチチ」となる熱湯。蛇口をひねって水でうめなくては、入ることはできない。蛇口からはすごい勢いで冷水が出るのだが、相当な熱さのため、いくらかきまぜても熱湯。ようやく我慢してつかることができるまで15分あまりの孤独な格闘は続いたのである。

ドリフのコントみたいに、入ったら壁が倒れるんじゃないかという不安が

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