大手は絶対作れない! ISの欧州侵攻を阻止するアクションシューティングが登場
2016.02.21
■処女作の『Hatred』は“銃乱射”ゲーム
これまでにも当サイトではユニークなインディーズデベロッパーをいくつか紹介してきたが、その意味ではこのDestructive Creationsもかなりの異色のデベロッパーだ。
14年に創立されたDestructive Creationsだが、15年6月1日に発売された処女作『Hatred』(PC版)は、街で見かけた人々を片っ端から殺害していくという強烈なバイオレンスシューティングである。銃社会であるアメリカを筆頭に、社会に大きなショックを与える“銃乱射”事件をゲームで実現したのだ。
14年10月に制作発表が行なわれ同作のトレーラーが公開されるや、残酷な表現と演出の内容がたちまち物議を醸し、15年1月に北米のエンターテインメントソフトウェアレイティング委員会(ESRB)は、この『Hatred』のレーティングをAO(Adults Only)と判断。一般のゲームショップでは扱うことができないばかりか、ゲーム専用機への移植版も作ることができない作品となったのだ。これは単純な「18禁」よりもさらに厳重な規制をかけたレートで、これまでにも数作品しか適用されていない。
なぜこうも物騒なビデオゲームを同社の門出となる処女作にしたのか? 同社CEOのジャスロー・ジエリンスキ氏は「本作は確かに邪悪なビデオゲームだが、97年にはすであったものですよ」と語る。すでにあったというのは、97年に発売された街中で人々を殺害するアクションシューティング『ポスタル』のことである。ジエリンスキ氏はいちゲーマーとしてこの『ポスタル』をいたく気に入っていたが、その続編(『ポスタル2』、『ポスタル3』)と07年の映画『Postal』が一種のコメディになってしまっていることに失望したという。そこでポスタル“1”の続編を自ら手がけようと考えてこの『Hatred』が生まれたことを情報サイト「Gamasutra」で明かしている。
それにしてもこの処女作に続いて今回の『IS Defense』と、いずれも世の中を騒がせそうなタイトルを連発し、いろんな意味で注目を浴びたことで同社の認知度は確かに高まっただろう。そこには思い切った特色を打ち出さなければ、現在の群雄割拠のインディーズゲームの世界で戦っていけないというシビアな業界事情もありそうだ。
(文/仲田しんじ)
【参考】