「描く!」マンガ展で田中圭一と伊藤剛が語る マンガ家がこの先生きのこるための話も
2016.02.13
■ペン先はペンが決めるんじゃなくてマンガ家が決める 好みのペン先は1種類
続いて、マンガ家が使用するペンの話題に。「ペン先を特定するのは簡単じゃないなと最近4~5年で気づいた」と田中。「抑揚のあるペンは全部Gペンじゃないかと思ってたけど、松本零士さんとお会いする機会があって『あのフニャフニャしたペンはGペンですよね?』って言ったらカブラペンだった。カブラペンって結構硬い。松本さんは思いっきり筆圧かけてる」
竹宮惠子についても、田中は「実はカブラだった。ペン先はペンが決めるんじゃなくてマンガ家が決める」と感心。逆に「Gペンを使っていながら抑揚を消して均一に描く人っていますよね。鳥山明さんとか」と例を挙げた。「場合に応じてGペン、丸ペン、カブラペンって使い分けるんだと思ってたけど、どうやらマンガ家の好みのペン先は1種類で、強弱や細い太いはコントロールしているっぽい。いちいち持ち替えなくて済むし、その方が効率いいから。そういうのがおぼろげながら見えてきた」
田中は竹宮惠子の絵も解説。「普通だったら鼻の影は傾いてる側にあるのにあえて逆にする意味って何だろうと。竹宮タッチ、萩尾(望都)タッチだってのは認識するけれども自分たちの個性を出すためにやってるのかと思ったら違った。鼻の反対側の線は影の一部が残ってるんだと。だんだんコントラストを上げていくと最後に残るのが線の部分」
その影の一部についても「1つは鼻が高いということ。鼻が高いから影が深く出る。1本だけ線を残しているということは全体的に色が白い。つまり白人で鼻が高いキャラクターを表現できるんだということで落ち着いた」と田中。「日本人とは違う顔立ちが成立してないとありえないというのを影の描き方、この線1本でいけると。僕はこれをGペンで描いたんですけどもカブラペンでこれを描けるのは相当なペンコントロール」
このほか諸星大二郎など、基本的に展示と関連させて事例を紹介していた。なお図録も販売されているが、ISBNコードを取得していないので、是非とも会場にて入手しておきたい。