『寝取られた彼女からのビデオレターで欝勃起』単なるNTRどころか「底辺乙」な快感まで……

2016.02.03

 相変わらず尖ったニッチ性癖アンソロで飛ばしてくれるキルタイムコミュニケーション。

 今回紹介するのは1月に発行された『寝取られた彼女からのビデオレターで欝勃起』。

 はい、今回もタイトルで内容は一目瞭然。収録作品は、ほぼオール主人公がほかの男のチンポでヨガり狂う彼女or妻を見て、NTRの興奮を覚えるというもの。今回は、少々心配になりながら読み始めた。というのもNTRを描くことはできるだろう。さらに欝勃起シーンも描くことはできるだろう。だが、読者にどこまで欝勃起……すなわち、くやしいけど興奮するという感覚を共有させることができるのか? それが気になるところだった。

 結論からいうと、収録作の多くは読者に欝感覚を共有させることに成功させている。収録作のシチュエーションは様々なのだけれども、ヒロインの持つ罪悪感から主人公の抱く、辛い光景なのになんで興奮してしまうんだ……という感覚までちゃんと描いているのである。

 というわけで、収録作の中から独断と偏見で、欝勃起度の高い作品を紹介。

 まず前後編で収録される『向こう側の彼女』(作:ジンナイ)は、挙式を間近に控えた主人公の自宅に謎にDVDが送られてくるという定番シチュエーション。定番なのだが、絶妙なのは前編のラスト。そもそも、ヒロインが「ビデオ撮るのやめてちょうだい」とか「顔だけは……」とか言っているのだけど、口では嫌がっているわりに異様に積極的。完全にチンポには逆らえない状態で、最後は口では逆らいながらも「悔しいけど感じちゃう」顔も撮影されてしまうのである。いくらなんでも最初から堕ちすぎ。主人公視点で見ると。こんな正体を隠して結婚しようとしていたのかよ! と、婚約者がほかの男のチンポで喘いでいる悔しさだけじゃなくて、騙されていた悔しさまでもが伝わってくるのである。

 こうした定番シチュを盛り込みながらも、定番ばかりで終わらないのがキルタイムのアンソロの怖いところ。『氷の戦士ブルーアイシクル 完全敗北ドM調教』(作:アクオチスキー先生)は、タイトルから一目瞭然であるが、男NTRという妙な方向に突っ走った作品。

 悪の女幹部に監禁されたヒーローが愛する彼女に、マゾ男に調教されていく様子を生中継されてしまうのだ。「まだ二日だってのにもうケツアクメ覚えちゃった」とか実況されたら、悔しすぎて興奮することウケアイ。この作者、アヘ顔アクメでは定評のある作風なんだが、男のアヘ顔アクメを描かせても上手いというのも発見。この特異な才能を、もっと伸ばして欲しいものである。

 もう一作品『寝取られた彼女は歌い手志望』『寝取られた彼女は人気歌い手』(作:武田あらのぶ)は、また興奮の仕方が複雑な連作だ。主人公は、大手歌い手志望のかわいい先輩の配信を手伝っていたのだが、ある日、先輩にスカウトのメールが……。で、いろいろあって主人公のところに特別PVが送られてくるという展開である。NTRシチュに加えて「大手歌い手志望」って設定に、多くの読者は「バカ?」と思うはず。そんなバカ女がプロデューサーの指示で堕ちていくというわけで「底辺乙」という黒い快感も覚えてしまうわけである。しかも、先輩が人気の歌い手になっているのを見た主人公が「二人でずっと頑張ってきた日々は……」とか落ち込むシーンが挿入されていて「底辺乙」感がさらに増幅するというわけである。

 いやいや欝なシチュエーションって、なんでこんなに股間を直撃するのだろうか。NTRに興奮しない人も勃起させるアンソロだと思った次第である。
(文=ピーラー・ホラ)

※モザイクは編集部によるもの。

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