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“閑古鳥”と揶揄される「阿佐ヶ谷アニメストリート」の“これから”

2015.04.23

2014年オープン当日の「阿佐ヶ谷アニメストリート」の様子。
こんなに賑わってたのに……!

 JRが、「営業していない」ことを理由に問題視しているという店舗は、2店舗ある。

 ひとつは、萌え系のLEDバックライトパネルを販売する「ピカットアニメ」。同社は店舗内での販売は行っておらず、全面をガラス張りにして、中に商品を展示する無人のショールームとして利用している。これをJR側では「営業していない」と判断している。ところが、取材に応じた同社の言い分は、真っ向から対立する。

「JRとは最初の段階から、このような使い方をするということで、暗黙の了解を得ていました。書類の上でも、オープン以降すべての曜日を休業日として、JRに提出していました。ところが、昨年の8月頃から突然(営業していないことを)問題だと言い始めたんです」(ピカットアニメ担当者)

 同社が出店を決めたのは、現状の利用方法であれば採算が取れると判断したから。その約束を反故にしているJRの態度のほうが問題だと、不満を隠さない。

 もうひとつ、まったく営業実態が見られない(=店舗なのに営業していない)のが「マイクロミュージアム・カフェ」だ。こちらは科学をテーマにした教育プログラムを企画開発しているマイクロミュージアムラボラトリーが運営する店舗だが、昨年の早い段階から営業がまったく行われなくなった。関係者の中には「JRや杉並区から仕事を受注するべく、“店舗を運営している”という既成事実を得るために出店したのではないか」という噂も囁かれるほどだ。この噂自体はかなりきな臭い話だが、どこまでが真実なのか? 同社CEOの近清武氏に連絡を試みたが、メールはおろか携帯電話に連絡しても返事はなかった。

 この2つの店舗は特異な事例かもしれないが、各店舗やJR、それぞれに意識の齟齬があるのは否めない。店舗を募集する段階から、JR側の構想には問題があったのだろう。家賃を比較的高めに設定したため、大半が企業系の出店になってしまったことだ。

「そうした企業系の店舗を運営する人の意識は、やはりサラリーマン的になってしまいます。家賃を下げて、中野ブロードウェイのように個人店が入居できるようにしたほうがよいでしょう」(前出の鴨志田氏)

 当初、「阿佐ヶ谷アニメストリート」の店頭にチラシ用のラックを置いたところ、JRから「通路上に置かないでくれ」という話もあったとか。そうした意識の齟齬は1年を経てようやく埋まりつつある様子。そんなJRだが、阿佐ヶ谷駅からアニメストリートへと向かう途中にあるガード下の商店街・ゴールド街では、建て替えに伴う立ち退きが泥沼化。半ば廃墟となった商店街を通り抜けなければ、アニメストリートにたどり着くことができないという状況を生み出したりもしている。

 オープンから1年を経て、次々と噴出した問題点。なるほど、これらを解決して定着させるには、まだまだ時間が必要そうだ。
(取材・文/昼間 たかし)

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