複葉機×自信たっぷりな強気イタリア美女!キュンとするしかない『女流飛行士マリア・マンテガッツァの冒険』

2015.03.10

 またまた筆者のツボをつくヒロインが登場するマンガを見つけた! 数々の戦記マンガ、特に太平洋戦争を舞台に日本軍の航空戦記を多く手がけてきたマンガ家・滝沢聖峰氏の新境地『女流飛行士マリア・マンテガッツァの冒険』(小学館)だ。

 作品の時代は戦間期。すなわち第一次世界大戦が終結し、やっと訪れた平和を享受しながらも新たに不穏な情勢が渦巻いている1920年代である。

 そんな世界の空を縦横無尽に飛び回るヒロインは、女流飛行士のマリア・マンテガッツァ。美しきイタリア美女だ。

 イタリア美女! この時点でハートを打ち抜かれる読者も多いはずだ。いくつになってもマンマが「私の可愛い坊や」ってやるもんだから、男は総じてマザコンというのがイタリア人の気質。で、女はといえば、ガリなら「スキニー」、デブなら「ぽっちゃり」と、世界一の美女のごとく母親から褒められまくって育てられるわけで……みんな自信たっぷりの強気美女。だが、そこがいい!

 というわけで、本作のヒロイン・マリアも自信たっぷりに世界の空を飛び回る。彼女は飛行機の腕もさることながら、気風が最高に良い。

 イランを舞台に、ソビエト政府に追われる反革命側のスパイを運ぶ仕事は騙し騙され展開。彼女は銃を突きつける敵を油断させるため、いきなり全裸。しかも、堂々と全裸! これは敵も油断するよなあ。

 さらに、美学を重視するのもイタリア人の気質。ゆえに、どんなに報酬がよくても仕事は選ぶ。

「このマリア・マンテガッツァには常に新しい風が必要なのよ」

 ルーティンワークに辟易した時、こんなセリフを吐いてみたいものである。そんな彼女の父親は。大戦中に活躍した英国情報部員だったという身の上。それゆえ、妙な事件に巻き込まれたりもする。物語は一話完結方式で痛快に進む。あるときは夜間飛行で血清を運び、またあるときは不時着した砂漠で謎の宮殿に迷い込む……。

 あとがきによれば作者の「らくがき」から始まったという物語は、タイトル通り縦横無尽の冒険でまったく飽きることがない。複葉機の独特の存在感にキュンとくる人は絶対読むべき一冊だ。
(文/ピーラー・ホラ)

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