ただのコラボには興味ありません!! 飽和する“アニメ×企業”プロモーション成否のカギとは?
2015.03.03
■アニメプロモーションの指標となるのは「UGC」
盛り上がりの速度やタイミングの差はあれど、「UGC」の動きはグッズなどの売上と比例する部分も多いと「SuperGroupies」の稲田氏。特に女性の間で盛り上がる作品に関しては、女性ユーザーの投稿が活発な「pixiv」や、女性ユーザーの登録数が圧倒的に多い「COSPLAYERS ARCHIVE」の動きはかなり意味のあるデータになりそうだ。
上記のことから、企業とアニメコンテンツのコラボに関しても、「UGC」の動きがキーになってくるのではないか、と武者氏。すっかり作品が認知されてからその作品とのコラボに動き出すよりも、これから人気の出る作品に目をつけ、人気が爆発すると同時にコラボプロモーションを打つのが理想で、そのためには「UGC」の動きをウォッチすることが重要になってくるのだろう。
■コラボレーションに不可欠なのは「ストーリー」と「必然性」
また、どんな形でコラボするかも重要だ。ただアニメのイラストをパッケージに載せただけでは、アニメファンはもう驚かない。しかも一般のユーザーにはアニメとのコラボがマイナスに捉えられることもある。
そうならないために、武者氏は「必然性とストーリー性のあるコラボをするべきだ」と主張する。
例えば同氏が以前仕掛けた「クレアラシル×カゲロウプロジェクト」のコラボでは、歴代のイメージキャラクターに国民的アイドルを多数起用していた「クレアラシル」が、『カゲロウプロジェクト』内でアイドル活動をしている如月モモを新たに起用した、という設定でプロモーションが行われた。如月モモがニコニコ動画の生放送で、まるで生身のアイドルのようにイメージキャラクター就任式を行ったり、公式サイトをジャックする仕掛けを作ったりと「ストーリー」「必然性」を追求し、多くのカゲプロファンに受け入れられる結果となった。「ストーリー」や「必然性」があれば、もともとある商品のブランドイメージを損なうこともない、と武者氏は語る。
【参考】クレアラシル × カゲロウプロジェクト『クレアラシル作戦』
http://2jigen.tokyo/archives/116
このように、作品選びやコラボの方法を変えていけば、まだまだファンの反応が期待できる新鮮なプロモーションを仕掛けることはできそうだ。アニメが企業を、企業がアニメを盛り上げるような双方にメリットのあるコラボが増えれば、一般ユーザーのアニメコラボに対する意識もよりプラスに働くだろう。
アニメと企業のコラボレーションがあふれている今、アニメプロモーションの未来は「作品選び」と「タイミング」、そして「ストーリー」と「必然性」にかかっていると言えそうだ。
(取材・文/福島槙子)