「アニメっていいよね」を広めるため――「AnimeJapan 2015」総合プロデューサーに聞いた“今年はここがスゴイ!”
2015.01.22
■異業種出展に就職…「AnimeJapan」が映し出す、ビジネスとしてのアニメ業界
廣岡 ビジネスに関しては、昨年は海外からも多くの方がいらっしゃるという前提で、日本のアニメが盛り上がっている雰囲気を感じてもらおうと思い、ビジネスデーやエリアは設定しませんでした。そこで、問題は二つありました。ひとつは、商談の場としては周囲の音が大きすぎるということ。もうひとつは、主に外国の方から「ビジネスは土日よりも平日のほうがよい」という意見が寄せられたことです。そこで、今回は金・土曜日にビジネスエリアを設けて、ビジネスがメインの人にも(日本アニメの)雰囲気を感じたい人にも対応できるようにしました。
――ビジネスエリアは、すべて商談メインで設定しているのですか?
廣岡 100%そうではありません。とはいえ、80%くらいは商談かなとは思っていますけど。もうひとつ目標にしているのが、国内ビジネスの活性化です。ビジネスエリアの中にスペースを設けるのですが、簡単にいえば新たなマッチングの活性化を狙っています。
昨年、キャラクターを描いたケーキを販売している会社様(参照)などの出展がありましたが、通常の業務ならばアニメとは接点のない業種ですよね。そういう業種の人たちが「うちの会社もアニメと繋がれるんじゃないか」というきっかけづくりの場になれたらと意識しています。
――コラボ商品は次々と生まれていますが、定番を超えてさらなる新しいものを目指している?
廣岡 そうですね。それは、お互いにとって良いことだと思っています。
――出展企業は昨年よりも増えそうです。この背景には何があると分析されていますか?
廣岡 昨年は第一回目だったので、様子見の人(企業)も多かったと思います。今回2回目の開催で出展企業が増えそうだというのは、出展社の狙っていることを「AnimeJapan」で実施できているからではないかと思います。
――出展側に聞いたところ、昨年の「AnimeJapan 2014」では物販の伸びがイマイチだったという声も聞かれました。それでも、企業側としても参加する価値があると。
廣岡 そうですね。でも、そういう声があるのは申し訳ないです。
――コミックマーケット(以下、コミケ)の企業ブースほど、物販が伸びない理由というのは分析していますか?
廣岡 会社によって、出展の目的が違うんじゃないでしょうか。コミケの場合は、完全に物販がメイン。「AnimeJapan」の場合、新番組の宣伝、会社のアピールが主体のところも多いですから。
池内 コミケは、皆さん買うつもりで来場していますしね。
――コラボフードの実施は難しかったのですか?
池内 水回りなどのインフラの整備をしないといけないので、困難でした。やっぱりやりたい思いはあるので、事務局にはずいぶん頑張ってもらったんですが……。
――今回、昨年好評だった、アニメ業界への就職希望者との面談コーナーはなくなったということですが。
廣岡 ええ、(昨年の「AnimeJapan」で)各社の担当時間すべてがフルに埋まる状態でした。実行委員会メンバーが中心で面談を実施していたのですが、皆さん各ブースの仕事と実行委員会の仕事も兼ねていたため、とにかく負担がすごかったもので。でも、それくらい大勢の人がアニメ業界に興味を持ってくれているのは、よく理解しています。ですので、もう少し負担を減らした形で何かをやりたいなとは思っています。
――アニメ業界への就職希望者は、むしろブースで空気感に触れるという方法も?
廣岡 そうです! 今年は、昨年よりも就職活動の開始時期が遅くなりました【註:経団連では2016年卒から面接解禁を8月に後ろ倒し】ので、業界を見極めるのに3月末はいい時期かな、と思っています。
池内 アニメの仕事をするといっても、制作から広告代理店までさまざまです。私も社外の方に「サンライズ所属です」と言うと、アニメーションを作画しているイメージがあるせいか「じゃあ、絵が描けるんですね」と言われます。私の業務は営業なので、作画をすることはありません。同じ会社でも部署によって業務内容は異なります。各社はどういう仕事をしているのか、あるいは自分が何をしたいか、何ができるかを知る場所としても「AnimeJapan」を役立ててもらえると嬉しいです。