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「二次創作映画」と原作ファン激怒!? 水嶋ヒロのクリエイティビティが爆発した映画『黒執事』レビュー

2014.01.23

 ちなみに剛力さん演じる幻蜂清玄は、本当は汐璃さんという女の子で、十年前目の前で両親を殺した犯人に復讐するために、まったく別の男として爵位を継いだんだそうです。原作での“ショタ×イケメン”から、“男装少女×イケメン”と、ある意味さらに錯綜した路線変更ですが、これも水嶋さんのクリエイティビティの発露なんでしょうか。

 上映開始直後、最初の見せ場が始まります。とある倉庫の中、どう見てもカタギじゃない人たちが、泣き叫んでいる少女たちを木箱に詰めて、どこかに運んでいます。そこに女装した清玄が縛られて、男に銃を突きつけられています。清玄は連続ミイラ化事件の被害者たちが、生前接触していた男を追って潜入しているのですが、それより女装した剛力さんの予想外の可愛さにビックリです。必要以上にクソ生意気な態度で、男を怒らせてしまい、清玄が絶対絶命の危機に陥ったとき、異様に間をとって、ついにセバスチャンの登場です。食事用の小さなナイフ(バターナイフ?)ひとつで、銃を持った悪党たちを“ガン・カタ”の要領で次々に倒していきます。

 今回、アクションシーンに特にこだわりをみせた水嶋さんは、四ヶ月前から準備に励んだというだけあって、ものすごい迫力です。ただスローモーとカット割が多すぎて、ノーマルなスピードでのアクションがほとんど観られなかったのが残念ですが。首領格の男が「お前何者だ?」と問うと、セバスチャンは答えます。

「あくまで執事でございます」

 このくだりの台詞や段取りは原作マンガの第一巻に収録されている「その執事、最凶」のエピソードを下敷きにしているのですが、今回の映画化に際し、「コミックナタリー」上で行われたアニメでセバスチャン役を演じた小野大輔さんのインタビューによれば、本作中で水嶋さんが演じるセバスチャンは、語尾やイントネーションを微妙に変えて、アニメとまったく同じ言い回しは避けていたようです。このあたりも、まったく新しい『黒執事』を創ろうという水嶋さんのクリエイター魂が感じられます。

 その一方で、『映画「黒執事」VISUAL BOOK』(スクウェア・エニックス)で、世界をにらみ「邦画だけれども洋画を感じさせる映画を」という水嶋さんの意気込みのとおり、本作には先の“ガン・カタ”をはじめ『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』『シャーロックホームズ』などの、洋画からインスパイアされたと思われるイメージが多数見られます。特に黒い水がうごめくオープニングでの『ドラゴン・タトゥーの女』へのリスペクトっぷりはスゴイです。

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