アニメ制作会社、2018年の倒産は過去最高の11件! 帝国データバンクの「アニメ制作業界動向2018」雑感
2019.10.08
9月25日、企業を専門対象とする国内最大手の信用調査会社、帝国データバンクが「アニメ制作業界動向」を発表しました。
詳しくはこちら(http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/p190903.html)を見ていただければと思いますが、ざっくりと要旨をまとめると、
・2018年(1月期~12月期決算)、アニメ制作企業の収入高は2131億7300万円
・1社あたり8億4300万円で、ピークとなった07年(9億9200万円)の8割超の水準にまで回復
・一方で増収となった企業は34.1%で、2年ぶりに前年を下回った。
・また、最終損益で赤字となった企業は30.4%で3年ぶりに増加。
といった数字が発表されました。
「アニメは2兆円産業!」などと、景気のいいニュースをご覧になったことがある方も多いかと思います。
しかし、その数字は主に日本動画協会が昨年12月に発表した「アニメ産業レポート2018」を根拠としたもの。テレビ放送、配信、商品化権、ライブといった、アニメにまつわる多様なジャンルの数字をまるっと含めてカウントしています。
「アニメ制作業界動向2018」は、アニメ制作会社に絞った動向レポートです。この記事では帝国データバンクのHPで掲載されているPDFを、詳しく見ていきます。
■『ゆるキャン△』さん、褒められる! 大手制作会社では収益性の改善が進む
レポート序章では「~~『ゆるキャン△』が人気を博したほか、『ポプテピピック』などインターネット上で話題となった作品も放映。劇場版では、2019 年公開の『天気の子』が興行収入 100億円を突破(後略)」としており、我々の『ゆるキャン△』と『ポプテピピック』が、天下の帝国データバンクから褒められています。やったぜ。
前述のとおり、アニメ制作企業の収入高は2131億7300万円。前期比で3.6%上昇となりました。また、1社あたりの収入高は8億4300万円となり、前期比で8.6%上昇。業界全体としては微増傾向にあります。
「元請け・グロス」制作ができる企業に限ると、収入高が増えた企業が前期45.6%→39.6%へ下落しています。ところが最終損益が「増益」だった企業が前期50.8%→54.2%となっています。
収入が減らした企業が増えているのに、なぜ最終的には増益した企業が増えているのか。レポートでは、「スタッフを自社育成してきた制作企業を中心に工程を内製化し、外注工程を減らしたことで例年に比べ収益性の改善が目立った」と解説しています。
各作品のクレジットをしっかり見るよ、というタイプの方はお気づきでしょうが、大手制作会社の一部では、これまでは外部に制作委託していたであろう、3DCGや彩色といった作業を行う部署を内部に増やしつつあります。「制作企業を中心に工程を内製化し、外注工程を減らした」とは、こういった動きを指しているのでしょう。