あにめたまご(旧アニメミライ)が今年もTAAFから公開 アニメーター人材育成におけるCGアニメの意義とは?

2016.04.06

 今回「あにめたまご2016」で制作された4作品(記事参照)が、関西地区にて4月2日深夜にMBSにて『かっちけねぇ!』『風の又三郎』、4日深夜に読売テレビ(「MANPA」枠内)にて『カラフル忍者いろまき』『UTOPA』が放送された。

「あにめたまご2016」の4作品@ACTF2016

 また、TOHOシネマズ日本橋で開催された「東京アニメアワードフェスティバル(TAAF)2016」でも一般公開され、3月19日の特別上映会の模様は、バンダイチャンネルにて翌20日21時より24時間限定で配信も行った。

 4作品の中でも、特に『風の又三郎』の評判が良い。かねてより同作のCGでの制作は明言されていたものの、特別上映会で司会を務めた津田健次郎と岡本ナミからは、その点に関する質問が監督以下の登壇者へなされなかった。あえて見出しで記してみたとはいえ、その質問をすべきなのかどうかも含め、こうした問い自体がすでに古いということを改めて感じさせる。

 また「あにめたまご2016」は3月26日、東京ビッグサイトで開催の「AnimeJapan 2016」でも発表会を実施されたが、その一方でドワンゴが「OpenToonz」について説明するプログラムが注目を集めていた。「OpenToonz」は、国内ではスタジオジブリが使っていた「Toonz」をもととしたデジタル作画ソフト。18日にドワンゴが「OpenToonz」を買収し、オープンソース化および無償ダウンロードをあわせて発表し、驚きをもって迎えられた。

 なお、ジブリが使っていたCGソフトと言えば「Softimage」が知られている(記事参照)。この「Softimage」は2014年に最終バージョンをリリース。今年4月30日に製品サポートも終了と、「Toonz」とは対称的な道をたどる。開発元のオートデスクは同社が有する「Maya」もしくは「3ds Max」への移行を推奨しているが、愛用してきたユーザーが多いだけに、仮に「Softimage」がオープンソース化すると喜ばれるに違いない。

「あにめたまご2016」の試みと発表イベント@ACTF2016

 手描きのデジタル作画にしても、CGのセルルックにしても、テレビシリーズや長編映画の制作を主とするアニメ業界では、ようやく知見が蓄積され、ワークフローが確立される段階になったところ。特にCGのセルルックはカットごとに細かな動きやモデルを調整した末の完成で、ここまで来るとコマ撮りの制作プロセスに限りなく近い。

 相変わらず手描きアニメーターに絞った話では、新人が生活できない問題・話題にばかりが目立ってしまっている。デジタル作画に置き換わることで、動画・原画・仕上げの分業に境目がなくなることを危惧する人もいるようだが、複数の工程を担当できれば、新人アニメーターでも生活できる可能性の方へと重心が移っている(CM・PV・MV・ショートアニメを制作する会社や個人では普通)。

 それは同時に、いきなり原画からでも大丈夫なレベルの新人にしか任せられないことも意味する。学校によっては能力に不安のある学生に、CGへ転向を勧めるところもある。能力があったとしても生活への不安からゲーム業界を選ぶ人もいる。人材の不足や流出は各業界をまたいだ問題であるため、業界や職種を限定しない方が建設的な話が可能なはずだ。

編集部オススメ記事

注目のインタビュー記事

人気記事ランキング