バーチャルYouTuberにお金回っていない問題 芸能事務所みたいなのはあるけど……
2019.06.08
昨年からバーチャルYouTuber(VTuber)を手がける企業が増えている。先駆けとなった「キズナアイ」の成功を見て、雨後の筍のように次々現れているという構図だ。
VTuberが激増する中で目立つようになってきているのが、「VTuberの事務所」という新たな業種だ。バーチャルタレントなのに事務所というのもおかしなものだが、中の人がいることを前提にマネジメントを行っているのである。要は、VTuberのための芸能事務所というわけである。
ネット上で検索すれば、VTuberの事務所はいくつも見つかるし、オーディション情報も手に入る。VTuber事務所とはなっているが、中の人である売れない声優やアイドルにしてみれば、のし上がるための新たな手段となっているのである。
でも、ここで疑問が起こる。売れない声優にしろアイドルにしろ、ある程度お金を稼ぐ方法はある。リアルのイベントを開催したり、グッズなどを販売をしたりすればいいのだ。では、有名VTuberと違って企業絡みの依頼もなさそうな無名VTuberはどうやって稼いでいるのか?
「まったくお金にはなっていませんよ」
そう話すのは、業界事情に詳しい技術者。企業とのコラボなどに頻繁に登場する一部を除けば、VTuberはまったく収益化できていないという。
「それでも事務所ができてお金が回っているように見えるのは、まだ開発したい企業が多く、それを受注する企業がいるからです。つま、業界内でお金が循環しているだけで、事業を行って収益を稼いでいる企業は少ないのです」
まさに自転車操業ともいえる構図。これも、VTuberが定着するために通らなくてはいけない道筋なのか。
(文=大居候)