華山みおの【物語探索その4】

『セクシー田中さん』笑いと共感の嵐!タイトルから想像しがたい予想を裏切る面白さ!!【物語探索その4】

2018.05.02

『セクシー田中さん』第1巻/芦原妃名子

 面白い漫画を読んだらそれを伝えたくなる! 華山みおです。

 そんなわけでめちゃめちゃ面白かった漫画をレビューします。 その名も『セクシー田中さん』!

 タイトルからものすごいインパクトのこの作品、あらすじはこちら!

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「砂時計」「Piece」など名作を輩出し、「Bread&Butter」連載中の芦原妃名子先生、今度はまさかのアラフォー女が主人公!?

 優秀な経理部員だけどアラフォー地味女の田中さん。婚活に励む23歳OL・朱里は最近そんな田中さんが気になって仕方ない…そしてついに、その素顔はまさかのセクシー○○○〇であることを発見!すっかり田中さんのファンになってしまった朱里は、婚活そっちのけで田中さんの追っかけと化すが…!?

 朱里の腐れ縁男・進吾や、婚活相手のこじらせ男・笙野、チャラすぎる既婚者・三好…秘密を抱えた田中さんを巡り、5人の「いい大人」がすれ違いまくりの恋を繰り広げる、新境地ドラマです!
(小学館サイトより引用)
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 この漫画はアラサー女性はもちろんのこと、男性女性老若男女関らわずに読んでもらいたい。めちゃくちゃ面白いっていうのを感じてほしい!! そして、知って欲しい。

 見た目や年齢、名刺に記載されている肩書だけで、人は結構人を判断しているんだとドキっとさせられます。

 30代後半は【おばさん】と呼ばれるのかもしれない。都銀で働いていたら【手堅い】 のかもしれない。ネイル盛って短いスカート履いてたら【遊んでる】のかもしれない。でもそれって真実? その一面でその人の全てを決めて見下したり断ち切っていいもの? 暴言を吐くことが許される免罪符になるの?

 田中さんの素顔は勿論のこと、もうひとりの主役である朱里の内面と外面の使い分け方、合コンで出会う男たち……この作品に出てくるキャラクター、自分の身近なところにいませんか? むしろそれは、自分じゃないですか?

 1巻の最後で笙野さんがアラサー女性全員を敵に回すようなひと言を繰り出します。でも、こういう人いるんだよなぁ。いちいち気にしてたら生きて行けないから聞き流したり適当にあしらうけど、深くて治りにくい傷を負わせてくるやつ。最近セクハラ・パワハラ問題が騒がれているけれど、それとほぼ同等の行為ですよね。日常の悪意ない一言って。私ももしかしたら言ってしまっているのかもしれない。誰かを傷つけるような一言を。
 
 そして、それとは反対に田中さんが変わるきっかけを手にいれたのも、ある人のささいな一言。喜ばせようと思って出た言葉ではなく、その人がぽろりとこぼした一言で田中さんの世界が変わったんです。 田中さんがいい方向に変わった世界を、朱里が見てそこから朱里の世界がまた広がって行っているように、自分の勇気が誰かに何かの影響を与えて連鎖していく……。こういうった経験、私を含め皆さんも経験したことありませんか?

 田中さんの「私は、あなたの持ってるモノ全てがうらやましい」というセリフが、矢沢あい先生の伝説の少女漫画『天使なんかじゃない』のマミリンこと麻宮裕子の名言「私は冴島翠みたになりたい」を思い出しました。すごく泣けます。

 自分のことを認められない自分を、うらやましいと思っている人がいると面と向かって言われることってそうそうないと思うので、とても衝撃ですよね。それが自分の憧れてる人から言われたらたまらりません。この一連のシーンがとっても素敵なので、ぜひ読んでください!

 2巻以降、それぞれのキャラクターがどう動くのか、どう変わっていくのか目が離せません! めちゃめちゃ楽しみにしています!!
 
(文=華山みお)

【ダウンロードはこちらから!】

セクシー田中さん (1)
掲載誌/レーベル:フラワーコミックスα
著者:芦原妃名子
出版社:小学館

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