一夜を共にした男女は「どうも」と言って再会した──ドラマ『東京タラレバ娘』第3話レビュー
2017.02.07
ドラマには「しかけ」が大切だ。
ドラマ『東京タラレバ娘』(日本テレビ系)には、様々な「しかけ」が出てくる。
倫子だけに見える、タラ(声:加藤諒)とレバ(声:あ~ちゃん)のキャラクター、ショックを受けたときや、夢心地になったときのマンガ的な表現など、それも見どころの一つになっている。
KEY(坂口健太郎)と一夜を共にしたものの、彼の本心がわからず悶々とする倫子(吉高由里子)。仕事で行った制作会社のロビーでKEYと再会する。
「どうも」とそっけなく挨拶するKEYに、「私のことどう思っているの?」と聞けず、「ど、どうも」とうろたえるだけの倫子。相手の気持ちを図りかね、ますます考え込んでしまう。
そんな頃、親友の小雪(大島優子)には、運命の人が現れる。ふとしたことで出会った年上の男性、丸井(田中圭)に、すっかり心を奪われてしまったのだ。
出会った翌日、2人で飲みに行った席で、小雪は丸井が妻帯者で、奥さんとは別居していることを告げられる。
一方、意を決してKEYを探していた倫子は、見つけたKEYの前で声を掛ける。
「……どうも」
その最初と、最後の「どうも」のセリフが実にしかけが効いている。
最初の“不安でどうしたらいいかわからない気持ち”から、“覚悟を決め、きちんと相手と向き合う気持ち”への変化が見られる。吉高由里子の演技の上手さでもあり、脚本の妙でもあろう。
思えば、このドラマ、このようなちょっとしたこだわりが随所に見られる。
倫子や香(榮倉奈々)が落ち込んだ時に「よし……死のう」とつぶやき、残りの2人が止めるシーンとか、LINEのやり取りをセリフにして「やってもうた」というときの声色とか、クスッとさせられる小技が散りばめられている。
ともすれば湿っぽくなりかねない話を、見ていて楽しく演出できているのが、このドラマの面白いところだ。