一夜を共にした男女は「どうも」と言って再会した──ドラマ『東京タラレバ娘』第3話レビュー

1702_tarareba03.jpgドラマ『東京タラレバ娘』公式サイトより。

 ドラマには「しかけ」が大切だ。

 ドラマ『東京タラレバ娘』(日本テレビ系)には、様々な「しかけ」が出てくる。

 倫子だけに見える、タラ(声:加藤諒)とレバ(声:あ~ちゃん)のキャラクター、ショックを受けたときや、夢心地になったときのマンガ的な表現など、それも見どころの一つになっている。

 KEY(坂口健太郎)と一夜を共にしたものの、彼の本心がわからず悶々とする倫子(吉高由里子)。仕事で行った制作会社のロビーでKEYと再会する。

「どうも」とそっけなく挨拶するKEYに、「私のことどう思っているの?」と聞けず、「ど、どうも」とうろたえるだけの倫子。相手の気持ちを図りかね、ますます考え込んでしまう。

 そんな頃、親友の小雪(大島優子)には、運命の人が現れる。ふとしたことで出会った年上の男性、丸井(田中圭)に、すっかり心を奪われてしまったのだ。

 出会った翌日、2人で飲みに行った席で、小雪は丸井が妻帯者で、奥さんとは別居していることを告げられる。

 一方、意を決してKEYを探していた倫子は、見つけたKEYの前で声を掛ける。

「……どうも」

 その最初と、最後の「どうも」のセリフが実にしかけが効いている。

 最初の“不安でどうしたらいいかわからない気持ち”から、“覚悟を決め、きちんと相手と向き合う気持ち”への変化が見られる。吉高由里子の演技の上手さでもあり、脚本の妙でもあろう。

 思えば、このドラマ、このようなちょっとしたこだわりが随所に見られる。

 倫子や香(榮倉奈々)が落ち込んだ時に「よし……死のう」とつぶやき、残りの2人が止めるシーンとか、LINEのやり取りをセリフにして「やってもうた」というときの声色とか、クスッとさせられる小技が散りばめられている。

 ともすれば湿っぽくなりかねない話を、見ていて楽しく演出できているのが、このドラマの面白いところだ。

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