「時をかける少女」が「時をかけない」選択をする意味──ドラマ『時をかける少女』第3話レビュー
2016.07.26
迎えた文化祭当日、他の組の発表を見て、羨ましく思う未羽。翔平(菊池風磨)や吾朗(竹内涼真)も楽しんでいるようだ。
文化祭も終わり、1学期最後の日、学校の帰りに、翔平と吾朗も文化祭に参加したかったと言い出す。
2人の頼みを受け、未羽はタイムリープし、クラスメートを説得しようとする。最初は苦戦した未羽だが、吾朗の活躍もあって、クラス全員で『ロミオとジュリエット』の演劇をすることになる。
発表に向けて盛り上がっていくクラスメートたち。未羽はその様子を写真に収めていく。
そして交錯していく3人の思い。他の女の子と仲良くしている翔平を見て嫉妬を感じる未羽。裏方仕事を黙々とこなす未羽に思いを募らせる翔平。そんな2人を、複雑な心境で見つめる吾朗。
文化祭が近づく胸の高鳴りと、好きな人を思う気持ちがシンクロしていく。
迎えた発表の当日、順調に進んでいたと思われたが、ラストシーンでのトラブルにより舞台はめちゃくちゃになってしまう。
タイムリープしてやり直ししようとする未羽。しかし、クラスメートたちは「それでも楽しかった」と言ってひとつになる。
うまくいくことだけが幸せじゃないんだ。
うまくいくことだけが青春じゃないんだ。
かつてないほどに簡単にタイムリープしてしまう未羽だが、ここへきて「タイムリープしない」という選択が意味を持ってくる。
例えば、翔平とキス。彼女はそれをなかったものにはできなかった。
そして、文化祭でのアクシデント。例え望んだものではなくても、例えうまくいかなかったとしても、二度と戻らない一瞬、その大切さを学ぶのだ。
文化最後の打ち上げで、翔平は未羽に告白する。
「僕のジュリエットになってください」
差し出された手を握り返す未羽。吾朗は、自分の気持ちを抑えながら、2人を祝福するしかない。そして未羽は……今度はタイムリープすることはなかった。
第3話でいくつかのことが明らかになる。
吾朗は幼いころからずっと未羽のことが好きだったこと。行きつけのお好み焼き屋の店主・三浦(高橋克実)が、実は未来から来た人間で、翔平の存在に気づいていること。そして、未羽のアルバムの中に、翔平の写真が一枚もないこと。
謎が徐々に解き明かされていく。
今回の見所のひとつは、吉本実憂演じる未来人・ゾーイ。
彼女は、今の時代を楽しもうと、「相原」として未羽たちのクラスに入り込む。演劇では、当初ジュリエット役になるも、あまりに演技が下手すぎるため、結局背景描きをやることになる。
この下手な演技がコミカルで面白い。実は演技力のある吉本が、棒読みのセリフを発するところなど、なかなか貴重なシーンだと思う。
あと、子ども時代の未羽を演じた横溝菜帆が可愛かった。調べてみると、結構ドラマ出演は多いようだ。今回のドラマでの出演は多くないかもしれないが、今後期待の子役だと思う。
さて、第4話では両思いとなった未羽と翔平、そして吾朗の関係がどうなっていくのか。翔平の秘密を未羽は知ってしまうのか。終盤を迎えた『時かけ』の展開から来週も目が離せそうにない。
(文=プレヤード)