高校生がボードゲームで“ベンチャー起業家”に!? 「ニコニコ超会議」や「ゲームマーケット」…根強い人気のアナログゲーム

　初めて遊んだゲームがビデオゲームという、ゲーム界の“デジタルネイティブ”の割合が増えつつある(逆転している!?)と思われるが、ボードゲームなどの“アナログ”なゲームの面白さに気づくゲーマーも決して少なくないようだ。つい先日には禅寺の庭園、いわゆる枯山水を手がけるボードゲーム『枯山水』が注目を集めたり、世界中で楽しまれているトレーディングカードゲーム『マジック：ザ・ギャザリング』もまだまだ根強い人気を保っている。そんな中、アメリカの高校生が野球のボードゲームを制作、販売して好評を博しているという。

■小学生の頃の夢を叶える野球ボードゲーム制作

　この野球ボードゲーム『Safe on a Base』を手がけたのは米・カリフォルニア州サンタクルーズの高校生、ナサニエル・メンドーサ君だ。

　子供の頃から野球好きだったナサニエル君は、野球ができない雨の日に部屋で野球を楽しめないかと思い、このゲームの基本的なルールシステムを、なんと小学生の時に思いついていたという。

　そして数年前、幼い頃の夢を実現させてみようと思い、友人の協力も得てゲームシステムを完成させたのだ。

　ナサニエル君の家族は、息子の夢の実現に2万5000ドル(約300万円)の金銭援助をしてボードゲーム制作販売会社「Board Game Design」に商品版のゲームをつくらせたという。いわばボードゲームの“自費出版”だ。

「『Board Game Design』の人たちはとても協力的で、貴重なアドバイスもたくさんしてくれました。彼らの助言を受けて、グラフィックデザインは僕ら自身が本当に欲しくなるものになるまで、何度も変更を加えました」(ナサニエル君)

　この『Safe on a Base』はサイコロを振って野球場のダイヤモンドに並ぶマスの上でコマを進めていくボードゲームで、プレイヤーはさまざまなチャンスやハプニングを通じてチームの勝利を目指す。価格は29.99ドル(約3500円)で販売は基本的に会社に委託しているようだが、ある日、学校の昼休みに持参していた『Safe on a Base』が売れたことから、たまにナサニエル君は友人と共に街角で路上販売を行っているということだ。また、最近ではオンライン販売の手はずも整えた。

「このゲームはとてもよく売れるし、買ってプレイした人たちから“面白い”という感想の言葉をたくさん受け取っています」とナサニエル君は「Polygon」の記事の中で語っている。まだ高校生でありながら、ちょっとした“ベンチャー起業家”といっていいのかもしれない。

■実は根強い人気の“アナログ”ゲーム

　ビデオゲーム全盛の世の中だが、まだまだボードゲームなどの“アナログ”ゲームの愛好家は多い。

　先日幕張メッセで開催された「ニコニコ超会議2015」では意外や(!?)、TRPGやボードゲームといった“アナログ”ゲームを体験・購入できるブース「TRPG即売会 in 超会議」が賑わっていたということだ。また「ゲームマーケット超出張版」では、人気のボードゲームやTRPGの遊び方を教わりながらプレイできる体験会も行われていたということで、これをきっかけにアナログなゲームの楽しさを知った来場者も少なくなかったようだ。

　そして5月5日には東京ビッグサイトで国内最大規模のアナログゲームイベント「ゲームマーケット2015年 春」が開催される。「ゲームマーケット」はボードゲームやカードゲーム、創作ゲーム、TRPG、シミュレーションゲーム等の愛好家たちの交流と、ゲームの流通・促進の場となる“非電源系”アナログゲームイベントだ。基本的に1年3回、東京で春と秋に、関西方面で冬に開催されている。

　今回は2011年ドイツゲーム大賞、11年、13年ドイツ年間ボードゲーム大賞を受賞した世界的ボードゲームデザイナーのアントワン・ボザ氏によるサイン会やトークショーなども予定されているという。00年から開催されているこのイベントには、毎回幅広い年齢層の老若男女が集うということで、家族連れでの来場にもまったく問題がないようだ。この機会にまだまだ根強い人気を誇るボードゲームの魅力に触れてみるのもいいかもしれない。
（文／仲田しんじ）

【参考】
・Polygon
http://www.polygon.com/2015/4/17/8447753/high-school-student-takes-a-swing-with-baseball-board-game

・ゲームマーケット
http://gamemarket.jp
ほか