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日本でのBDブーム到来前夜!? 海外マンガ研究家が熱弁「グローバル化するMANGAとバンド・デシネ」

2014.09.19

■『AKIRA』を経由して間接的にメビウスを知る? フランスの“Manga”受容とは

トークイベントの様子。

 他方、現地での日本の“Manga”については、近年では90年に『AKIRA』が仏訳されたのに続いて、『攻殻機動隊』『銃夢』などが入っていったのが大きい。加えて、先行して“アニメ”が放送された作品のほうが売れる傾向にあったと語る。『AKIRA』を描き、同作の“アニメ”でも監督を務めた大友克洋さんが、メビウス【編注:谷口ジローや宮崎駿らにも多大な影響を与えたフランスの巨匠マンガ家】などのBDに影響を受けたことは有名だ。ところが、『AKIRA』後の現地フランスの世代だと、『AKIRA』自体がメビウスよりも影響力があるのではないか、といった話も。

 このほか当イベントがメ芸の企画関連であることから、ヤマダさんはメ芸での審査について、同時に選考委員を務めている手塚治虫文化賞(以下、“手塚”)と比較して触れた。メ芸がエントリー方式、“手塚”がノミネート方式といった違いから、メ芸はその時々の新しい作品に、賞の数が少ない“手塚”は長い目で見て表彰したいと思う作品に贈賞するイメージがあるとした。さらに、13年のメ芸で『ジョジョリオン』が大賞となった背景を明かす。いわく、これまでエントリーしない傾向にあった集英社がエントリーしたことを前提に、作者の荒木飛呂彦さんが長い間描いていてもその魅力が衰えていないことが決め手になっているそうだ。

 なお、先のクレシーさんは「ウルトラジャンプ」で『プロレス狂想曲』(共に集英社/翻訳は原さん)の連載を開始している。原さんによれば、BDのようにいきなり単行本スタイルでの出版ではなく、毎月連載されて読者の反応が見えやすいのがモチベーションになるとのことだったので、チェックしてみてほしい。
(取材・文/真狩祐志)

■北九州市漫画ミュージアム
http://www.ktqmm.jp/

北九州市漫画ミュージアムの様子。

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