新人声優の家賃は4万円台が多い!? 声優志望者のリアルを映し出す「声優グランプリ」

2014.03.30

――昨今の声優人気に伴い、気がつけば声優専門誌も定期・不定期を合わせて10誌以上が刊行されている。そんな“声優誌 群雄割拠”の時代にあって、各誌はどのような記事・企画をとりあげているのだろうか? 主要な声優誌を中心に、目玉記事や気になる企画などを紹介しつつ、各誌の特徴を分析していく――

声優グランプリ(主婦の友インフォス情報社)2014年4月号

声優グランプリ2014年4月号
出版社…主婦の友インフォス情報社
発売日…3月10日(毎月10日発売)
価格……1152円+税
創刊……1994年

「声優グランプリ」(通称「声グラ」)4月号の表紙は小野大輔。タロットカードを片手に流し目を決める姿が印象的だが、それ以上に気になってしまったのは、表紙上部に踊る「声グラグラグラグラグラーッ!!!」の文字だ。

「声グラ」は毎号、表紙の雑誌名上部に10文字強の短い文言が乗せられている。たとえば2月号は「読んだら夢が叶うかな?」、3月号は「世界の声優ファン集まれぃ!」といった具合だ。しかし、今月号は「声グラグラグラグラグラーッ!!!」である。もしかしたら表紙入稿時、編集長が疲れていたのだろうか? 小野が主人公の声優を務める『ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース』にひっかけてであろうこのコピーはいささか投げ槍な印象も受けるが、個人的にこの勢いは嫌いではない。

 さて、気を取り直してページをめくると、巻頭特集は表紙に引き続き小野大輔が登場。4月から放送開始のアニメ『ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース』で主人公・空条承太郎役を務めるとのことで、9ページにわたってグラビア&インタビューが掲載されている。漫画のコマ割を意識した見開きグラビアでは『ジョジョ』の原作を彷彿とさせる「ドドドド」や「ゴゴゴゴゴゴ」などの書き文字が添えられ、さらに裏表紙の広告でも『ジョジョ』新アニメの放送告知を掲載するなど、巻頭特集に相応しい統一感にこだわりを感じた。

 このほか、意外と重宝する改変期恒例の「2014年 春アニメ新番組FILE」や、2月に発表されて話題を呼んだ「WEC×声優グランプリ プレミアムオーディション」のレポートなどが目に付いた。だが、そのなかでも特に気になったのは「へあちぇん!」だ。

「へあちぇん!」は声優の髪型を大胆に変えて撮影する同誌の名物企画。出演作やCDリリースなど彼らの仕事に関連した内容が多くなるなか、純粋に外見や容姿で見せる同企画は異彩を放っている。そんななか、今月号で小西克幸が挑戦した「ジャック・スパロウ(映画『パイレーツ・オブ・カリビアン』)」は実に圧巻だった。いつもは髪型のチェンジに合わせて衣装を整える程度なのだが、今回はメイクや背景にも力が注がれていて、グラビアページとしての出来映えは申し分ない。

 最近は一般誌でも取材を受ける機会が増えた声優たちにとって、各媒体の取材の拘束時間は短くなる傾向にある。「へあちぇん!」のようにメイクを含めて長時間の撮影が予想される企画が、巻頭グラビア以外で実現できるのも“老舗たる「声グラ」の力”なのかもしれない。

 なお、今号の付録は「声優名鑑2014男性編」と「新人声優NOTEBOOK」の小冊子2冊という豪華仕様。「声優名鑑2014男性編」は毎年恒例の付録だが、興味深いのは「新人声優NOTEBOOK」である。内容は、養成所でレッスン中の新人声優15人が、仕事やレッスンについて回答するというもの。「現在の家賃は4万円台の人が多い」、「アルバイトは週平均6.2時間」など、彼ら新人の生活が垣間見られるのも面白い。

「声グラ」は20年前の創刊当初から“声優を目指す人のための情報雑誌”という側面があり、声優志望者に向けた情報が多い点も特徴だ。声優を目指す人が増えている現在、豊富なノウハウを持つ同誌には、今後もこうした「声グラ」ならではの企画に期待したい。
(文/神楽坂隆)

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