華山みおの物語探索 その34

『GALS!』(藤井みほな)ギャルを身近な存在にしてくれ、恋愛や友情とは何かを示してくれたバイブル!

2019.04.17

『GALS!』第1巻/藤井みほな

 あの藤井みほな先生が期間限定でTwitterアカウントを作成しました。 

  TLに流れてきた名前とイラストを観た時にあまりの懐かしさに変な声が出た。そういう人多いのではないでしょうか。 

 流れてくる懐かしいイラストたちを観ていたら、コミックスを引っ張り出してくるしかありません。漫画の中はいつだってあの時代。

 今回は1998年から2002年まで少女漫画雑誌『りぼん』(集英社)に連載された 藤井みほな先生の『GALS!』について語ります!


GALS!とは?

渋谷最強のカリスマ女子高生・寿蘭とその友人・星野綾と山咲美由の友情を描いた物語。初めは3人とも、相手をよく思っていなかったが、様々な出来事を共に経験するうちに、心を開いてゆく。途中友情関係がぎこちなくなったり、恋愛がうまくいかずに悩んだりしたが、最終的には3人が共に「最高の友達」と呼び合える関係になっていく。

渋谷最強のカリスマ女子高生寿蘭を中心に、ギャル達の友情や恋愛を描いたコメディストーリー。


 ギャルとは程遠い陰キャだった私(今も)。クラスの中にはグループがいつの間にかできていてギャル・普通・オタク、みたいにざっくり別れていたような気がします。ギャルはいつも大きな声で笑っていて、学校だけどメイクもばっちりで、流行にも敏感で明るく楽しそうでした。

 普通とオタクの間をフラフラしていた私みたいな陰キャにもギャルのみんなは普通に仲良くしてくれました。3年間同じクラスだったのも、そういえばギャルのあの子だけだったな。

 安室奈美恵さんや浜崎あゆみさんなどギャルのカリスマ達が生まれた年代に、漫画の中でもギャルのカリスマが現れた。そう、この物語の主人公の寿蘭だ。

 強くてかわいくて底抜けに明るくて頭は悪いけど運動神経もよくて義理堅くて正義感が強く曲がったことが大嫌い。【ギャル】という生き方に誇りを持っていて自分を絶対的に肯定している蘭の姿は、あの時代のギャルがいない現在でもまぶしく写ります。

 りぼんっ子の中にはギャルだった子もいたでしょうが、大多数はそうじゃなかったのではないでしょうか。『GALS!』はりぼんっ子のギャルじゃなかった子たちや、ギャルについて知らなかった子たちに対してギャルをものすごく身近な存在にしてくれた漫画だったと思います。

 ちょっとワルめな印象があったギャルに対して、この子と仲良くなりたいとか、私と似てる、楽しそう……、など知らなかった側面をたくさん見せてくれました。

 蘭だけじゃなくて美由のような元ヤンからかわいいふんわり系のギャルになる子や、がり勉でとっつきにくかった綾みたいなギャル……ギャルの中にも色んな種類があったり、見た目の派手さに遠巻きに見るだけでしたが、悩みは私たちと同じ等身大の高校生だったことを教えてくれました。

 いま改めて読み返してみると、武器を所持していたり番をハるという制度があったりギャルってそうなの!? と思う描写もあるのですが(当時はそうだったの? 今もそうなの?)当時と今、時は経ったもののあまり変わらない部分もありました。

 2巻に収録されている話でイタメール(イタズラメール)が蘭たちの元に届く話があるのdすが、そのメール内容について乙幡くんが発した言葉が「あいつら顔が見ないから大胆なことも平気で書けるんだろ。あんま真に受けると損だぜ」というもの。

 これって、今でいうとtwitterやインスタ、ネット上で起こっていることと同じことですよね。当時はガラケーのメールの中だったし、それよりも前にも違う形で匿名の力であっただろうし。手段が変わっただけで今も昔も似たようなことでみんな悩んだり傷ついたりしているんですね。

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