『サザエさん』波平の行動が思いもよらない展開に 城山昇脚本回に「伏線が効いていて面白い」「テクニカルな脚本」

2018.05.30

フジテレビ「サザエさん」公式サイトより。

 5月27日放送の『サザエさん』(フジテレビ系)は、長年本作の脚本を手がけている大ベテラン・城山昇氏のテクニックが光るエピソードが放送され話題を集めた。ネットの声とともに内容を紹介していこう。

 話題になったのは作品No.7791の「父さん危機一髪」(脚本:城山昇)。ある日のこと、帰宅中の波平はいつもより異様に混んでいるバス停を目撃する。どうやら事故で通行規制がかかって遅れているらしい。これに波平は「こういうときは堂々と……」と飲みに行こうと企んだ。しかし考えていることはみんな同じで、居酒屋も満員状態。

 仕方なく波平はどこにも寄らず帰宅したが、いつもより帰宅が遅れてしまったため、家では家族がお腹を空かせて波平の帰りを待ちわびていた。波平は「待たせてすまん」と食卓に向かうのだが、フネからお酒を勧められた際、「さっき諦めたからいい」と断った。

 そして後日、波平は耳かきをなくしたことに気がつく。日ごろから子どもたちに注意している手前、波平はなくしたとは言えずに薬局で買うことに。そしてその道中でフネらしき女性を発見。脅かしてやろうと後ろから声をかけることにしたのだが、ギリギリで赤の他人だと気づき、間一髪女性に触れる前に踏みとどまる。踏みとどまり、よろける姿をサザエに目撃されてしまう。

 ドキドキして息を切らした波平は、公園で少し休憩。それから薬局へと行き、耳かきを買おうとするのだった。

 波平視点でストーリーが展開されたが、ここから予想外の展開を見せる。これまでの波平の行動が伏線となって華麗に回収されていくのだ。なんとサザエたち家族は、波平のここまでの行動を見て、なにか病気を患っていることを隠しているのではないかと推測しはじめるのだ。

 先程は触れなかったが、公園で休んでいる様子は三河屋のサブちゃんが目撃しており、カツオに「どこか悪いんじゃない?」「皆に心配かけまいとして隠しているんじゃ」と報告していた。また、薬局で耳かきを探す姿はマスオが目撃していた(マスオには波平が胃腸薬を探しているように見えていた)。

 こういった要素から、最初に帰宅が遅れたのは家に帰る前にどこかで体を休めていたからで、お酒を飲まなかったのも胃が悪いから。耳かきを探して薬箱を漁っていたのも、実は薬が目的。公園で休憩していたのは、サブちゃんが言うようにやはり調子が悪いため。そして薬局に行ったのも薬を買うためだと考えたのだった。

 このエピソードにネット上では、「今日のサザエさんは伏線が効いていて面白いな」「サザエさんのくせにめっちゃ伏線回収してくるじゃん」「波平の視点でストーリーを進行させつつ、それが家族にどう見えていたかで裏のストーリーを構成しているのか。これすげえテクニカルな脚本だ」「この勘違いは確かに間抜けなんだけど、間抜けな勘違いが発生する過程はちゃんと丁寧に書かれててすごい」といった称賛の声が続出。

 なお、この後はというと、帰宅した波平が家族に「病院に行ってください」「みんな心配しているのよ」と一斉に詰めかけられたことで、盛大な勘違いが生じていると発覚。勝手に病人扱いされた波平だが、サザエが言った「私たち、早とちりしたけど全部辻褄が合うでしょ」という言葉にどこか納得してしまうテクいストーリーだった。

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