消え行く昭和のエロに思いを馳せて…『あの日のエロ本自販機探訪記』著者インタビュー

2017.07.07

『全国版 あの日のエロ本自販機探訪記』(著・撮影:黒沢哲哉/双葉社)

 一定以上の年齢の男性であれば、その多くに何かしらの思い出やエピソードの一つや二つがあるであろう「エロ本自販機」。昭和時代、日本各地の街角で示していたその圧倒的な存在感を、今でも懐かしく思い出す向きも多いことと思われる。

 一方で、何かと「悪書である」と槍玉に挙げられることで次々と規制が入り、さらにPCやスマートフォンで簡単に“エロ”を入手できる時代となったこともあって、街角から次々とその姿を消しつつあることも周知のとおり。

 そんなエロ本自販機を、驚異の緻密さと執念で探し求め、勇姿をまとめたのが『全国版 あの日のエロ本自販機探訪記』(双葉社)だ。なんと全320ページ、掲載された自販機設置店(場所)は約350カ所、厚さ約26ミリという超力作だ。

 帯は「くだらなすぎて誰も手をつけてこなかった」と自嘲気味だが、エロ文化遺産のアーカイブ、歴史をたどる史料としても、そして古きよき時代への郷愁をかきたててくれるアイテムとしても、たとえヒットしなくとも見逃せない1冊となっている。

 一体何を考えて、何を思えばこんな力作が生まれるのか、そして取材や構成にはどんな苦労があったのか。著者・撮影者である黒沢哲哉氏に話を聞いてみた。

■街角で偶然見かけて「あ、まだあるんだ」と思ったのが始まり

――まず『あの日のエロ本自販機探訪記』を発行するに至るまでの経緯――エロ本自販機の写真や情報をまとめようと思われたキッカケ、そしてなぜそれを1冊にまとめようと思われたのか、それぞれ教えてください。

黒沢哲哉(以下「黒沢」) 最初はどこかに載せるつもりもなかったんです。ドライブが好きでよく夜中に車を運転するんですが、たまたまエロ本の自販機を見かけまして。その時は「あ、まだあるんだ」と思ったぐらいでしたが、ドライブ中にそうやって2~3カ所、見つけたんです。

 久々に自販機を見つけてうれしかったので、近場だけでももっと探してみようかなと思って、見つけるたびにGoogleマップにマッピングしていったんです。そんなことをしていると次第に地方の情報も集まりだしたんですが、最初はスルーしていたんです。実際、なかなか行って見ることができませんから。

 ところがあとからあとからどんどん見つかっていく。ああ、これは相当あるなと思って、マッピングだけはするようにして。その数が増えるにつれて、一度これはちゃんと調べてみるしかないと思うようになりました。

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