【劇場アニメレビュー】乙女たちの熱い声援に応える『KING OF PRISM-PRIDE the HERO-』
2017.06.13
その男子ユニットのその後をスピンオフとして描いた映画が『KING OF PRISM by Pretty Rhythm』こと『キンプリ』であり、これが予想外ともいえる興収8億円のクリーン・ヒットとなったことで作られた続編映画が『KING OF PRISM-PRIDE the HERO-』こと『キンプラ』なのであった。
なぜ『キンプリ』がヒットしたのか? それは二次元ならではのさっそうとしたイケメン・アイドル・キャラが競うかのように歌って踊ってのきらびやかな世界を展開していく中、そこはかとなく漂う薔薇の要素が乙女たちの心を大いに揺さぶり開放したものと推測はできるが、こういった禁断の世界がかくも明るくオープンに展開されていることに驚きもさながら、それを受容する彼女たちの革新性をも痛感させられる。
今回の『キンプラ』も場内はコスプレイヤーがちらほら、私の両隣の若いおしゃれな女性客も開演時間前からサイリウムのチェックに怠りない。
やがて場内が暗くなり、ブライダルのCMが始まった。すると
「おめでとー!」
と銀幕に映る花嫁を祝福するひとりの乙女の叫びが!
一瞬にして場内がどっと沸いた。
そう、映画の上映前から始まってしまった……。
その後、画面に何かが映されるたびに誰かが声をかけては場内がどっと受け、この繰り返しの中から、来る本番に向けて彼女たちがウォーミングアップしているのがつぶさに伝わってくる。しまいには映画泥棒にまで声援が送られる。
(ちなみに予告編で一番盛り上がったのは『美男高校地球防衛部LOVE! LOVE! LOVE!』で、ほとんどプリキュアの男子高校生版ともいえる変身シーンに黄色い悲鳴が場内にコダマする一方、これが『メアリと魔女の花』になると一転してシーンと静まり返ったのだが、こちらは久々のジブリ・ラインの作品ということで、思わず期待して魅入ってしまったといった雰囲気。こりゃまたヒットしそうですね)
いよいよ開幕。制作会社のテロップが映されるや
「ありがとータカラトミー!」
「ありがとー、タツノコ!」
などなど、そこからもう叫ぶのかい!? といったハイテンション・マックス・モード!
おびただしいサイリウムの灯が、銀幕の画面を照らすかのように揺れまくる!
当然、その後キャラが登場するや、もう何を言っているのかわからなくなるほどの大歓声!
というか、おのおののキャラが何か言葉を発するたびに
「どうしてー!」
「がんばれー!」
「すごーい!」
「いいよー!」
などなど、観客が熱く燃えながら逐一反応していくさまを次々と目の当たりにしていくうちに、何だか自分が現実ではないどこか彼岸の彼方にでも連れていかれたかのような錯覚に陥っていく……。
お好みのキャラがアップになると悲鳴が轟き、そんな彼らのキス・シーンになるや拍手が沸き起こる!