ミリオタライター二木知宏の「武器で見る映画」第11回

マット・デイモンが舞う!『グレートウォール』と“ブラックパウダー”が変えた兵器史

2017.05.06

映画『グレートウォール』公式サイトより

 武器で見る映画、第11回は、『 HERO』などで有名なチャン・イーモウ監督最新作品、『グレートウォール』(原題:The Great Wall / 長城 2016)です。中国とアメリカの合作映画で、主な舞台は中国の万里の長城でありながら、主演をマット・デイモンが演じています。万里の長城を舞台に「トウテツ」という存在との壮絶な戦いを描いたアクション映画です。

 グレートウォール、長城、これは、万里の長城のことなのですが、そもそも、「城」とは何か? ということですが、当然のように決して観光名所になるために作られたものではないのです。敵に攻め込まれた際の防衛拠点であり、要塞であり、砦である、それが城。場所や年代で、目的や様式が大きく異なりますが、抑止も含め、戦闘のための建造物、それは万国共通しています。

 それでは、万里の長城の説明をしましょう。ギネスにも登録されている人類が建造した最長の建築物。学校でも習ったと思いますが、中国から見た北方の遊牧民である「匈奴」などの侵攻を防ぐため、そして、シルクロードの貿易を保護する防衛施設として築城されました。紀元前770年代、周の時代から築城が開始されたとの記録が残っています。しかし、大部分が明の時代(1368〜1644年)に作られたんですね。現存する部分だけで6,259.6kmとされています。長ぇ〜!! ひょっとしたら、もっと長い時代もあったかもしれないわけです。

 古来の戦争の中で「城攻め」と呼ばれた戦闘では、兵力が要します。攻め落とすためには、守りの兵力の3倍の軍事力が必要だと言われていて、考えていただければわかると思いますが、防御の壁に守られている中から銃弾や矢が飛んできて、対する攻撃側は、壁を越すため、ハシゴや櫓を設置しようとする。皆さんなら、どちらを選ぶでしょうか? 僕なら、城の奥にいて、門が破られたら即刻降伏しますね……。

 さぁ、映画の話を進めましょう。映画の時代ははっきりと言われていませんが、宗の時代、フビライ・ハーンの元寇・元の前時代とのこと。歴史の授業で日宋貿易とか習った、あの時代です。マット・デイモン演じるウィリアム一行は、とある「最強の武器」を求めて、中国にやってきました。「最強の武器」とは何か? これはネタバレとかではないんで、言います。ブラックパウダーです。

 このブラックパウダーこと、黒色火薬は世界三大発明の一つで、中国で6~7世紀に発明されたとされています。今現在使われている銃器は無煙火薬が使用されているのですが、昔の火薬は煙が多く出たんですね。

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