『正解するカド』4話 この非常時に、政府高官がSNSのクソコメ見て何をどうするんだ
2017.05.01
「この世界に、爆弾を落とす覚悟だ……」
『正解するカド KADO:The Right Answer 』(TOKYO MXほか)の第4話、ヤハクィザシュニナが差し出した永久エネルギーのせいで日本は窮地に立たされてしまった。
これは単なるガチなファーストコンタクトSFではないのでは? という疑念も出てきて今期もっとも目が離せないアニメだと驚愕している米光一成が全話レビューするよ。*ここまでのレビュー
■身の丈に合わない贈り物を人類はどうするのか
ファーストコンタクトものである。
異方から来たイケメンのヤハクィザシュニナ(CV:寺島拓篤)が、「ワム」を人類に差し出す。
ワムは、無限に電力供給が可能になる二つの玉だ。
身の丈に合わない贈り物に人類が翻弄される、というのもファーストコンタクトもの定番の展開。
ここから、振り回された人類が破滅の道を進むのか、どうにか乗り越えて超越者すら想像もしなかった道を切り開くのか、はたまた超越者が想像もしない策略を練っているのか。
どう展開していくのかワクワクである。
そして、ようやく気づいたのだが、『正解するカド』は単なるファーストコンタクトものガチSFではなさそうだ。
ドジッコ萌えアニメの要素もふんだんに取り入れた硬軟融合のアニメだったのだ。
■ドジッコチャンピオンは遙沙羅花
何しろ有能で賢いという設定のキャラクターたちが、全員、ドジッコなのである。
今回の萌えドジ・チャンピオンは、遙沙羅花(CV:M・A・O)だ。
なにしろ「真道さん早くして下さい、予定が詰まってるんです」と急かし、自身の立場と重要性を理解しろと叱りつけたにもかかわらず、ふたりで車中にいるときに、まったくムダな話しかしないのである。
まず、「この一分一秒で情勢が刻々と変化しているんですよ。十全に把握して下さい。貴方と私は双方の代表交渉官なんです。私の方はまだ良いですけど、貴方はこの世でたった一人の異方の代理人なんですよ。なのに貴方ときたら……」と、説教しはじめると止まらないタイプなのか、ながながと言い聞かせ、真道(CV:三浦祥朗)に「時間が無いんじゃなかったっけ?」と反駁される。
ここまでなら単なる勢いの止まらないおねーさんなのだが、この後「直近の世論調査の結果です!」と言って真道に渡すテキストが、
・ヤハクィザシュニナかっこいい
・地方で暮らす身としては正直どうでもいい
・異方側ともっと友好を深めるべき
・ワムを使いたい
と、どこかのクソコメントを集めたようなものばかり。
これを見せて、どうしようと思ったのか。
その後も「ヤハクィザシュニナは、人類に対して敵対的では無いという印象は持ちました」と、典型的な騙される人パターンの感想を語り出し、「私は“ワム”なんて無い方が良いと思います」と言ってもしょうがない望みを語る。
状況の共有しなくていいのか、と観てるこちらが心配になってくると、さらに、もっとどうでもいい話に展開する。
3日前の会談の時、吹き出していたか吹き出してなかったかの議論になっちゃうのだ(このあたり真道が話題をふっているので、真道は事を進めたくないのか? って感じである)。
えんえんと言い合った末に、動画サイトという証拠を差し出される。そして低評価ボタンを連打。
一分一秒で情勢が刻々と変化しており、自身の立場と重要性を理解していたら、そんなことしてる場合じゃないでしょ!
■ドジッコ人類は滅亡するしかないのだろうか
花森くん(CV:斉藤壮馬)も、ドジっ子キャラだ。
役職につくかつかぬかって重要な判断をすべきときにヨーグルトで買収され、「俺はお前ならできると思ったんだ」なんて言われて泣きそうになるし、カド解放順が最後だと言って駄々をこねる。
こ、これらは、人類が愚かだから滅亡してもしょうがないよねって伏線なのか(それとも、それを反転させるためのいったん落としてってやつか)、それともただただ脱線の萌えシーンなのか。
しかも、次に重大な任務を背負わさせるのが、最もドジっ子キャラの品輪彼方(CV:釘宮理恵)だ。
ヤハクィザシュニナが「可能性が高い人間を既に補足している。第一候補は……」とシリアスに言い、カット切り替わって、内閣調査室が同行を願う声に振り返る品輪彼方は、わざわざメガネの片側をかくんと落としてのドジッ子アピールするのだ。
うーむ、これで人類は正解を出せるのか!?
不安を抱えて次回を待つべし。
(文/米光一成)