原菜乃華のリアルな成長が、フィクションの中に交錯する 映画『はらはらなのか。』の世界

2017.04.10

映画『はらはらなのか。』のポスター

 昨年放送されたドラマ『朝が来る』(フジテレビ系)。川島海荷が演じた片倉ひかりの中学時代を演じ、わずか12才にして出産シーンに挑んだのが原菜乃華だった。

 自分のお腹にいる子どもを愛おしむ様子や、生まれたばかりの息子と引き離されるシーンの演技は、すでに女優として完成されており、そこに見えたのは幼いながらも間違いなく“母”の姿であった。

 そんな原菜乃華が主演した映画『はらはらなのか。』が4月1日に公開され、好評を博している。タイトルからもわかる通り、女優・原菜乃華を思い切りフィーチャーした作品である。

 子役からの脱却を図りながらも、うまくいかず悩む少女、原ナノカ(原菜乃華)。そんなとき、亡くなった母(松本まりか)がかつて主演した舞台『まっ透明なAsoべんきょ~』が再演され、キャストを募集していることを知る。

 反対する父(川瀬陽太)に内緒でオーディションを受けたナノカであったが……。

 ナノカにだけ見えるもう一人のナノカ(原菜乃華・二役)の役も重要だ。本物のナノカの世話を焼き、何かとフォローしてくれる存在。子どもの頃、そんな妄想に取りつかれたことがあったが、それが具体化したものだろう。

 原菜乃華の魅力は、絶妙なリアリティである。愛らしい顔立ちと、ピュアな演技に目が行くが、彼女は「子役をも演じている」のではないかと思わせるほどの奥深さを感じる。

 映画の中で「原ナノカ」は成長していくが、それは成長する演技なのか、実際に原菜乃華が成長していっているのか、わからなくなる。この不思議なリアリティこそがこの映画の魅力だ。

原菜乃華のサイン

編集部オススメ記事

注目のインタビュー記事

人気記事ランキング