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カウンターの向こうからゆっくりと、つむぎの可愛らしさにデレデレしてればOK!? “あにめのめ”第1弾作『甘々と稲妻』シリーズ構成・広田光毅氏インタビュー!

2016.07.03

やはり注目は3人の掛け合い

■つむぎが少しずつでも変化していく様子を描きたい

―― 『甘々と稲妻』は基本その3人が中心で、他キャラも少なく、場所もあまり動かない。密室劇みたいな一面もあります。

広田 そうですね。それで最初の脚本打ち合わせのとき、監督が「一切のモノローグを排除したい」と仰られたんです。原作の中には、犬塚先生が奥さんのことを思い出す下りとか、小鳥やつむぎにも稀にモノローグはあるんです。それをアニメでは一切出したくないと。ほぼ密室劇でキャラも少ないですから、かなり厳しい条件です。でも、ドラマを止めてモノローグを入れるぐらいだったら、その時間を“間”として使いたい。そういう意向が監督にあったので、「そのまま演出としての間にしてしまえ」と遠慮しなかったんです。ですから、密室劇ならではの作劇の苦労はなかったですね。通常モノローグを入れたくなるところを“間”として使うことができたと思います。これは、新鮮で驚いた反面、岩崎監督すごいな、と素直に感動しました。

 あと、『甘々と稲妻』にはドラマの柱として、犬塚父子の親子関係と、小鳥ちゃんの犬塚先生に対する淡い恋心、という感情線がありますよね。監督はこの小鳥の恋心を今回のTVアニメシリーズではあまり押さず、その分、犬塚父子の関係性に注力しようと、やはり最初に仰いました。1クールという短い放送枠ですし、原作も連載中。しかも原作でもまだ小鳥の思いというのは、何も結果、結論が出ていませんよね。そういったものをアニメで変にいじりたくない。それよりも、娘においしいものを食べさせたいという、お父さんの思いに力を注ぎたいと。

 小鳥の立ち位置が原作よりも後ろに下がってしまうのではないか? と思ったんですけど、監督はちゃんと小鳥の立ち位置は存在するはずであると。そんなお話したんですけど、でもよく考えると、一緒に料理する間柄の教え子という立ち位置だけでも面白いですからね。

―― しかもはやみんボイスですから、存在感ありますよね。

広田 はは、そうですね(笑)。まあ、原作にある描写をスポイルするわけではありませんが、犬塚父子の場合は、もう関係性の結論が出ているわけですよ。おいしいものを食べさせてあげたい、一緒にご飯を作って食べようという答えが、スタート時点でもうできています。そこに絞って描くことができればテーマがぼやけないと思いますし、雨隠先生も担当編集の方にも、そういう手法をとることに納得していただきました。ここがアニメ化に際して、一番大事なとこだと思っていましたから。

―― 雨隠先生とは、ほかにどんなお話をされたんですか?

広田 エピソードが進んでいく中で、つむぎが成長……というほどではないかもしれませんが、少しずつでも変化していく様子を見せてほしいと。怒られてむっとしたり、感情が爆発してワーとなったり、自我をもって行動するようになったり。毎回きっちり変化が目に見えてあるわけではないですが、何話か置いてからその変化が見えてきたり、エピソードがつながっていたり、そういったことを雨隠先生も意識されていたそうなんです。TVアニメではどうしても、アニメ化するエピソードの順番の組み換えや、今回は泣く泣く映像化を見送ったエピソードも存在します。この点について雨隠先生はアニメはアニメの作法があるから、それは全然構いません、と。すごく協力的にお話を聞いてくれるし、やりやすかったです。

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