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民進党が「規制派に乗っ取られた?」選挙公約をめぐりオタクたちに新たな混乱

2016.07.01

 同党が公開した「民進党政策集2016」には、次のような公約が掲げられている。

■メディアにおける性・暴力表現について、人々の心理・行動に与える影響について調査を進めるとともに、バーチャルな分野を含め、技術の進展及び普及のスピードに対応した対策を検討し、推進します。

■売買春等にいける買い手を生まないための教育・啓発など、「女性の性を商品化する風潮」を変える取り組みを具体的に進めます。
(ともに原文ママ)

 あたかも新たな「表現規制」を行うかのような公約。同党は民主党の時代から「表現規制」に関する立法に賛成する議員と反対する議員が同居する政党ではあった。しかし、近年ではどちらかというと規制には反対のほうが多数派と見られていた。そうした中で、降って湧いた公約に、現在の参院選で「表現規制」に反対する民進党の候補を支持していた人々にも動揺が広がっているのである。

 いったい、どういう経緯でこのような公約が盛り込まれたかは、今後の取材が必要であろう。だが、そうした検証や批判よりも先に湧いているのは陰謀論である。

「規制派議員が政策集をつくるメンバーに入っていた」「民進党は表現規制派団体に乗っ取られた」といった、なにも確証のない情報が、渦巻いているのである。

 この公約には民進党内部でも疑問を覚える者はいるらしく、中野区議会議員の森たかゆき氏は自身のTwitter(@moritakayuki)で「私もこの文言が入ったのは非常に不本意です」と発言している。

 あたかも、民進党が「規制派に寝返り」、オタク文化への規制強化が待ったなしかのごとく広がる妄想。だが、ここで冷静に考えなくてはならないのは、政党が掲げる「公約」の価値である。

 そもそも、政党の「公約」なんて実行できなかったり、撤回・違反されるのが当たり前。

 TPPに反対していたハズの自民党は、参加してるのは、その好例。民主党も政権を取ったときには数々の公約を掲げたが、そのいくつが実行されたというのか。

「表現規制に反対するから」という理由で、票を投じる先に選んでいるオタクも多い日本共産党なんて、歴史が長いだけにもっとひどい。「ポルノ」規制には断固として賛成していたし、反原発運動には反対していたし、さらに歴史を遡ると「農村でゲリラをやれ」と若い党員を送り込んだ挙げ句に、突如、武装闘争を放棄してすべてなかったことにした黒歴史が……。

 結局「公約」なんてものは、その場しのぎの公式見解程度のもの。それよりも、候補者ひとりひとりが人間として信用できるかを見極めるのが重要だと思うぞ。

(文=ルポライター/昼間たかし http://t-hiruma.jp/

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