『おそ松さん』のパワーがビンビン! 謎の組織票(笑)に神谷浩史も苦笑…「第10回声優アワード」授賞式

2016.03.14

「声優アワード」授賞式。

 3月12日、今年も昨年度に輝いた声優らを表彰する「声優アワード」の授賞式が開催された。

 今年の大きな変更点は、会場である文化放送が生中継を行ったこと。これにともなって、授賞式の時間は従来の倍の2時間近くとなった。というのも、歌唱賞を受賞したi☆Risと特別賞を受賞したA応Pによる歌のコーナーが設けられたからである。

 これまで固い感じのあった授賞式は、一気にファン目線のイベントになったと評価できる。

 ちなみに、特別賞は文字通り特別に表彰すべきと判断された声優が受賞するというものだ。A応Pは、今大人気のテレビアニメ『おそ松さん』のOPで喝采を浴びるグループだが、特に受賞理由の説明はナシ。

 なんとなくモヤモヤとした気持ちが残ると思いきや、助演男優賞受賞で登壇した鈴村健一が、痛快な一言を。

「イヤミのおかげで、ここに立っているのは間違いありません!」

 最後には世代を超えて誰もが愛する「シェーッ!」のポーズを決めた鈴村によって、会場が大いに沸いたのはいうまでもない。

 主演女優賞を受賞した水瀬いのりの「二十歳ということで、これをゴールだと思わず邁進していきたい」と、堂々たるスピーチと対照的だったのが、主演男優賞の松岡禎丞だ。

 登壇した松岡は事務所や制作会社への御礼の言葉をつなげるも、途中で緊張のあまり詰まってしまったのだ。しかし、松岡はそれを逆手に取って次のように結んだ。

「ずっとやっていれば緊張は取れるものかと思っていたが、ここまでやったけど取れません。これは変わらないので、生暖かい目で見ていただけたらうれしいです」

 演技以外には何もできなそうな、ストイックな性格が反映されたスピーチであった。

 さらに「どういう組織票だよ?」とツッコミが入りそうなのが、ファン投票で選ばれる最多得票賞に5年連続で選ばれた神谷浩史だ。さすがに、登壇した神谷も一瞬苦笑した後にトロフィーを受け取った。

 なお、5年連続受賞を受け、神谷は「最多得票賞」の殿堂入りが決定。来年からは殿堂入りということで除外になるそうである……純粋にファンのパワーには驚くよりほかない。

 また往年の声優たちに贈られる功労賞では、中村正のスピーチが際立っていた。通例、こうした受賞者は誰もが知っている声を演じたり「まだまだがんばります」というものだが、中村は違った。

「昔、中村正だといわれていた……変わり果てた中村正です。醜態をさらして申し訳ない」

『チャーリーズ・エンジェル』や『奥様は魔女』で知られる中村は、さらに続ける。

「以前は、養成所の生徒の前で『奥様は魔女』の冒頭ナレーションを演じたら“おお~”と声が挙がったものです。それが、今ではシーンとしてしまう……そんな時にこの賞をいただいて、よしこれからもやるぞと、哀れに思ったものです」

 時代の移り変わりによって、業績が忘れられていく様を自ら笑いに変える大御所の言葉は、若い声優たちに、どう響いたのだろうか。なんとも、鮮烈なスピーチであった。
(取材・文=ルポライター/昼間 たかし http://t-hiruma.jp/

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