mako『ライオット・ガール』定番過ぎるネタが次々登場するお約束ワールド
2016.02.11
mako『ライオット・ガール』第1巻(スクウェア・エニックス)は、超少女マンガタッチなのが目を引く作品です。
絵柄は完全に少女マンガなのに、ヒロインの鮫島オトメは、少女マンガにはありえないヤンキー女であります。でも、彼女がヤンキーだったのは過去の話。たまたま手にした少女マンガを読んで、無力な女子たちが、恋や友情を手に入れる姿にヤンキー的感性で感動したオトメは、自分もこんな恋をしてみたいと高校デビューを決意したのです。
この決心は本物です。入学した高校は、通学時間が2時間もかかるところ。なるほど「地元で最強」となっていると、人生を切り替えるのには相当な努力が必要なようです。
でも、無事に高校デビューを果たしても、ヤンキー経験しかない人生だったため、困難はつきまといます。そもそも、これまで友情とは殴り合った末に芽生えるものだったので、フツーに友達をつくる方法もわからないのです。
どうみても前途多難な、オトメの高校生活。そこで出会うのは、クールなイケメンの蜂矢由仁と、その幼なじみで「超ド級ヒロイン」の風格を持つ鹿谷めぐるの2人であります。この出会い方が、オトメと由仁がぶつかって……と、完全にベッタベタな少女マンガを踏襲しているのです。絶対作者はワザとやっていますね=笑うポイントです。
地元にはいなかったタイプのアイドル顔のイケメンが登場して、オトメはいきなりときめきます。いったい、どんな地元なのか? 金髪とかパンチしかいないのかとか、空恐ろしくなりますが……ともあれ、愛と友情に満ちた高校生活がスタートするかに思われました。何しろオトメは、お気に入りの少女マンガに付箋をつけまくり、付箋に「こんな風に助けられたい」とか「キュンポイント」と書き込んでいたのですから。
しかし、やっぱりベッタベタな展開は、そうやすやすと恋愛を成就させてはくれません。
下校中にめぐるが不良に絡まれているのを助けて、元ヤン発覚。クール過ぎる由仁に、なんだコイツと思いながら、少女マンガにありがちな展開じゃないかと推測したり……。かと思えば、ついに剣道をやってる由仁のライバルとなるイケメンまで登場してきました。
ここまで書けば、おわかりでしょう。この作品は少女マンガの法則とヤンキーマンガの法則をミックスしたラブコメマンガなんです。
ドリフターズのコントでタライは落ちるものだし、この戦争が終わったら結婚すると言いだす兵隊は戦死するもの。そうしたお約束が、いつ、どのタイミングで飛び出すのかをワクワクしながら楽しむ作品なのです。
いったい、この先どんなお約束の展開がまっているのか? 反発しあっているヒロインとイケメンは必ず結ばれる法則もあるので、安心しながらワクワクして待ちましょう。
(文=大居候)