『傷物語』が3位にランクイン!! しかし、読みどおり“薄めたカルピス”でファンは不満!? 【週末映画興行成績】

2016.01.13

『傷物語』公式サイトより。

 1月9日~1月10日分の週末映画興行成績(興行通信社)が発表されたので、今週もオタク目線でお届け。

 1位は、土日2日間で動員約39万1,000人、興収約6億2,000万円をあげ、首位を守った『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』。同作は国内で、6日までの20日間で約71億円を稼ぎ出したが、この数字は23日間で70億円を突破した『アナと雪の女王』の上を行く数字だ。さらに11日までに82億円を突破しており、1月中に100億円を超えると見られている。

 また、全米においては、6日までに7億6100万ドル(約913億2000万円)を突破。これまで歴代興収1位だった『アバター』(318日間で7億6050万ドル)をいとも簡単に抜き去った。世界総合興収も10日の時点で、『アバター』(27億9000万ドル)、『タイタニック』(21億9000万ドル)に続き、17億3000万ドルと歴代3位をマーク。ほぼ間違いなく、記録を塗り替えることとなるだろう。

 2位も前週と変わらず、動員約25万8,000人、興収約3億円をあげた『映画 妖怪ウォッチ エンマ大王と5つの物語だニャン!』。冬休みが終えても、キッズが大挙押し寄せたようだ。ちなみに、1月8日はTVアニメ『妖怪ウォッチ』(テレビ東京系)の放送開始日(14年)ということで、ジバニャン、コマさんといった21キャラクターが、揃って神田明神へ初詣。レベルファイブ代表取締役社長・日野晃博氏はその席で、映画が『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』といい勝負をしていることについて、「期待以上の結果。まだまだ行ける手応えを感じました。世界で戦えるコンテンツをしっかり作っていきたい」と、ハリウッド進出を含め、海外展開に夢を膨らませていたとか。

 ビッグな2タイトルに負けてしまったものの、劇場数108館で初登場3位に位置づけたのは『傷物語〈I鉄血篇〉』。動員約13万2,000人、興収約1億8,000万円をあげた同作は、実に製作発表から5年も経った上に3部作というオマケつきで、一部ファンが「カルピス、薄めるようなことをするな」と怒った、いわくつき映画だ。

 また、原作者・西尾維新氏書き下ろし小説『混物語』が4週にわたり、1週目「第忘話 きょうこバランス」、2週目「第強話 じゅんビルド」と、週替わりで特典としてつくということに対しても、「全部貰うために毎週観に行けってこと?」「どれだけ絞る気だ!」など、不満が爆発している。それもあってか、ネット上では「60分とか短すぎ」「尺伸ばしが露骨」「時間をかけて作ったはずなのに、神作『ガルパン』と対照的」といった、辛めのレビューが多い。ただ、中には「こんなやっつけでも、今後のシリーズを素晴らしい作品にするためのお布施だと思って払う」と、健気なファンも……。せめて60分×3部作ではなく、90分×2部作であれば、評価も違ったのかもしれない。

『orange -オレンジ-』は、1ランクダウンし4位となってしまったが、公開5週目でこの順位は上だろう等。なお、舞台となっている長野県松本市の観光コンベンション協会、市でつくる編集委員会が、松本の魅力などを紹介する本「新 松本を楽しむ本」がリニューアルされ、同書の表紙に映画『orange -オレンジ-』が起用された。『ガルパン』しかり、地域に愛されるというのは、立派な武器になり得る。

 以下、スティーヴン・スピルバーグ×トム・ハンクスという、最強コンビに感じられる『ブリッジ・オブ・スパイ』が5位、『池中玄太80キロ』(日本テレビ系)シリーズのテレビ界の巨匠・石橋冠氏が初めてメガホンを握った『人生の約束』が6位、Hey!Say!JUMP・中島裕翔と“ダースー”こと菅田将暉が出演する、NEWS・加藤シゲアキ原作『ピンクとグレー』が7位と、もっとイケそうな初登場組はいまいち振るわず。その後に、『母と暮せば』『007 スペクター』と続いた。後者は、前作『007 スカイフォール』の最終興収(27.5億円)を超え、ダニエル・クレイグ主演の『007』史上最高の記録を樹立。

 6位から4ランクダウンし、ギリギリトップ10入りに踏みとどまったのは『映画 ちびまる子ちゃん イタリアから来た少年』。3連休初日となる9日、筆者は近場にある映画館の最後の回に飛び込み、同作を鑑賞してきた。観客が8人程度という寂しい状況の中、90分強観た感想は、ふたつの意味で「やさしかった」だろうか。登場人物はみんな優しく、「画だけじゃなくて、セリフでも説明した!」という易しさもある。ただ、それは決していい意味ではない。涙は流れるけど、それだけの映画で終えてしまった。23年ぶりのスクリーン復活作であるだけに、残念でならない。

今週末公開作にこれという大作がないから、トップ3はしばらく安泰かも?

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