「本当に出るのか!?」の声をはねのけ、永野護『ファイブスター物語』9年4カ月ぶりの新刊が本当に出た!

2015.08.10

KADOKAWA公式サイトより

「生きているうちに完結するのだろうか?」とマンガ好きがよくボヤくマンガ家のひとり、永野護の『ファイブスター物語(以下、『FSS』)』(KADOKAWA)の最新13巻が、実に9年4カ月ぶりに発売。発売直前になっても、ネット上には「本当に出るのか?」「俺は信じないぞ!」と、散々待たされた信者たちから悲痛な声があがっていたが、無事発売を迎え、信者たちを喜ばせている。

『FSS』は、1986年4月号から、アニメ専門誌「ニュータイプ」(同)で連載を開始。「モーターヘッド」と呼ばれる人型兵器を、ファティアと呼ばれる人工生命体とともに駆る騎士たちの争いを描いた群像劇だ。「掲載と休載とで、ニュータイプの売り上げが倍も違う」とまでいわれた人気作なのだが……とにかく新刊が出ない。

 10巻までは1年~1年半ぐらいのペースで順調に発売されていたが、2000年を迎えたころから休載が目立ちはじめ、21世紀に突入してからは3冊しか単行本が発売されていない。

 その間、永野は遊んでいるわけではなく、本作の画集をかねた設定・デザイン集を何冊か発行しているし、9年間もの超長期休載の間には、『FSS』と世界観を同じくする長編アニメ『花の詩女 ゴティックメード』の原作・監督・脚本・絵コンテ・レイアウト・原画・全デザインを務めている。まあ、その『花の詩女 ゴティックメード』も公開延期を繰り返し、当初は「角川書店65周年記念作品」と銘打たれる予定だったが、無印での公開となる有様なのだが。

 ファンに厳しい『FSS』だが、それも永野にこだわりがあるからこそ。超重厚な設定のもと、SFや学園ものなどの要素まで含んだ“おとぎ話”にファンは多く、ストーリーテリングや独特なデザインに影響を受けたクリエーターも多い。14巻が果たしていつ発売されるのかは謎だが、性根を据えて待ち続ける価値はありそうだ。

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