民事訴訟もありえるのか? 『ハイスコアガール』著作権問題で揺れるスクウェア・エニックス

2014.08.06

ハイスコアガール5巻(スクウェア・エニックス)。

 マンガ家の押切蓮介氏が「月刊ビッグガンガン」で連載中のマンガ『ハイスコアガール』が、他社ゲームのキャラクターを無断使用したとして、出版元のスクウェア・エニックスが著作権法違反容疑で家宅捜索を受けた事件。刑事告訴したSNKプレイモアは「刑事事件で捜査中でもあり、コメントは控えたい」とし、民事訴訟については明言を避けた。

 この事件は、作品中でSNKプレイモアが版権を持つ『ザ・キング・オブ・ファイターズ』『サムライスピリッツ』などのキャラクターが、同社の許諾なしでマンガ内に登場していたというもの。「産経新聞」などの報道によると、SNKプレイモアが『ハイスコアガール』のアニメ化にあたり映像制作会社から使用許諾の問い合わせを受けたことから、事実が発覚。今年5月に告訴したという。

 同社が8月6日付けで公表した文書によれば、スクウェア・エニックスに対して、電子書籍・単行本・月刊誌などの即時販売停止を申し入れたが「なんら誠意ある対応がなされなかった」として、告訴に踏み切ったとしている。

 告訴に至るまでどのような交渉の経緯があったのか、SNKプレイモアに取材を申し入れたが「刑事事件として捜査中」であることを理由として、取材は断っていることを説明された。今後の対応については、捜査の進展を見て検討する予定だという。

 なお、民事訴訟を提起する可能性についても聞いてみたが、こちらも捜査の進展を見て検討すると含みを持たせた。

 スクウェア・エニックスは、家宅捜索翌日の8月6日に第1四半期決算を発表。決算短信によると、同社の「ライツ・プロパティ等事業」については、「当第1四半期連結累計期間は、引き続き、自社コンテンツのキャラクターグッズ、サウンドトラック等の販売・許諾を行うとともに、他社の有力コンテンツのキャラクターグッズ化による品揃えの強化や海外展開による収益機会の多様化に努めております。 当事業における当第1四半期連結累計期間の売上高は674百万円(前年同期比8.2%増)となり、営業利益は193百万円(前年同期比132.5%増)となりました。」とし、業績予想の上方修正を行っている(外部参照)。

 こうした流れの中で、ネットでは同社の株主が売るか持ち越すかを悩む声が相次ぎ、決算発表後の現在も悲喜こもごものコメントが交錯している。当事件がどう収束を迎えるのか、今後も注目していきたい。
(取材・文/昼間 たかし)

編集部オススメ記事

注目のインタビュー記事

人気記事ランキング