オープニングだけは爽やかな『M3~ソノ黒キ鋼~』 ついに物語は核心へ?
2014.07.30
――毎日、何本ものアニメが目まぐるしく放送されている現代日本。これだけ放送本数が多いと、見るのだって一苦労……。そんな悩める現代オタクのため、「おたぽる」がオリジナル作品を中心にテレビアニメ・レビュー! これさえ読めば、気になるあのアニメのあらすじから評判までがまるわかり!!※本文中には“ネタバレ”が含まれていますので、ご注意ください。
■『M3~ソノ黒キ鋼~』>
第15話「未明ノ欠心」
【今週の極私的見どころ!】
冒頭に出てくる、鷺沼アカシ(CV:松岡禎丞)の泣き笑い顔が強烈すぎました。主人公の尊厳はどこへ(笑)。ただ、筆者が思うに、真木ミナシ(CV:柿原徹也)は出羽ササメ(CV:小岩井ことり)を恋愛的な意味で好きとは言っていない気がします。もしこれで本当に「ミナシはササメLOVE」であるなら、制作側の恋愛観を疑いますが……。
ところでこのシーン。ネットでは「目の前でNTRやめてやれ」と非常に賑わいました。今さら感もありますが、「NTR」は「愛する人が寝取られること」という意味。厳密に言えばササメは寝取られていませんが、もし「NTR」を知らない人がいたら覚えておくと、今後、アニメ視聴に役立つかもしれません。
【今週のおすすめ度】
★★★☆☆
(前回のあらすじはこちら)
ドロドロした恋愛模様が描かれたアバンタイトルから一転して、爽やかなOPが流れる第2クール。視聴者からは早くも「違和感」と不満の声が上がっています。一方で、「なにこの爽やか青春ロボアニメ。面白そうwww」とギャップを楽しんでいる視聴者も多いようです。筆者は後者に賛成で、「最後は哀愁を残しつつ、こんな気持ちになれるアニメになればいいなぁ」と密かに期待しています。
さて、今回は無明領域に取り残されたアカシがどこかの部屋で飛び起きるシーンから始まります。ササメとミナシのラブシーンは、アカシの夢だったようですね。動揺するアカシの前に現れたのは、躯の側にいたササメそっくりの少女。室内にあった光り輝く木を「これは“九ノ樹”(ここのき)というの」と紹介した彼女は、この木が屍鋼化を防ぎ、傷を癒してくれるものだと説明します。ササメを失ったことのショックで声を出せなくなってしまったアカシは、少女が脳に直接語りかけてくる声に少しずつ警戒心を解いていきます。
それにしてもこの少女、思念体だと思っていましたが、アカシに触れるということは実体なのでしょうか? なぜ無明領域にいるのか、ずっとここで生きていられるのか、ここから出られないのか、ネットではさまざまな疑問が浮上したものの正体は依然として謎のままです。
無明領域の外では、復興支援企業体イクスが生還した伊削ヘイト(CV:村瀬歩)の生存維持に注力していました。長い間無明領域にいたのに屍鋼化を40パーセントに留めていたヘイト。「エミルと共振していたから無事だったのかも」と憶測が飛び交っていましたが、もしかしたら破先エミル(CV:日笠陽子)が九ノ樹の近くにヘイトを連れて行ったのかもしれませんね。とはいえ前回、エミルは弓月マアム(CV:福圓美里)と完全に共振してしまいました。九ノ樹の存在を知ったアカシによって屍鋼化したヘイトは助けられるのか。それともリムになって誰かを乗せるのか。ヘイトの今後の立ち位置に注目が集まります。
一方、いつも自分ばかり守られるだけでは嫌だと癇癪を起こしたアカシ。心の隙間を埋めるように優しく語りかける少女に、アカシは洗脳されていきます。このシーンで、ケガをしたアカシに少女は自分のワンピースを破って包帯代わりにしますが、裾から縦に布を引き裂いたせいで動くたびに裸体がさらされることに。「なぜ縦に切ったww」「色々見えそうwww」と男性視聴者の視線を釘付け……というより、突然のお色気展開に疑問のほうが大きかったようです。ちなみに布は横より縦のほうがまっすぐ裂けるので、包帯を作る方法としては間違っていません。あの程度の傷で包帯が必要だったかは謎ですが(笑)。
少女は心を開いてくれたアカシに喜ぶものの、ササメと呼ばれるたび顔を曇らせていきます。ついに少女はアカシをある部屋へ誘導すると、そこに置かれていた躯の赤い核を抱いて「躯は死んでない。あなたに怯えているから(躯を傷つけたことを)謝って」と言うのです。まだ少女をササメだと思っているアカシは、ササメがそんなことを言うのはおかしいと混乱していきます。そして、過去にササメとそっくりのツグミという少女がいたことを思い出すのです。次の瞬間、建物へ強い衝撃が伝わったと思えば、外にマヴェスが2機。正気に戻ったアカシは、ササメはミナシの乗るマヴェスの中にいることを思い出します。呆然とするアカシの隣にツグミの姿を捉えたミナシは言います。
ミナシ「君がアカシを助けてくれたんだ。久しぶりだね、ツグミ」
ツグミ「ミナシ……」
低く呟かれたツグミの声と、挑発的なミナシの顔。この2人の間にいったいどんな確執があるのでしょうか。すべてを知っているであろう2人の関係が、次回のストーリーを大きく動かしてくれることでしょう!
(文/牧野絵美)