「飛撮仕事人!の飛行機撮影の世界」第1回

機体観察のための飛行機写真撮影技術・スポッティング撮影の流儀

2013.12.26

──飛行機マニアとひと口に言えど、その楽しみ方は実にさまざま。機体に乗ることを楽しむファンもいれば、各パイロットのファンにグッズ収集マニア、エンジン音マニアなど、幅広い。そこで、ここでは最も身近な“飛行機写真”の世界を覗いていただこう……。

機体番号やレジは航空機ごとに付加される認識記号。同じ航空会社の同じ機種でもそれぞれ違う記号を持つ。
スポッティングカットにおいては重要な部分といえる。


#いろいろな飛行機の撮り方 ~スポッティング撮影~

 飛行機撮影にはいろいろな撮り方があるのですが、今回はその中から「スポッティング撮影」についてご紹介したいと思います。

 航空趣味の中でいう“スポッティング”とは、もともと双眼鏡やペン、紙などを持って飛来する機体を観察したり記録すること。時代の変革とともにカメラを用いた記録が台頭し、スポッティングという言葉の定義もそれぞれ変革してきました。歴史も長く、航空趣味の本場ヨーロッパでもポピュラーなものとして扱われています。

 スポッティングカットを得るための撮影をスポッティング撮影としていますが、実はスポッティングカットの定義というのも公式にこうと決まったものはありません。最低限「胴体にある登録記号(だいたいは機体番号、レジストレーションを略してレジと言う。画像参照)がハッキリ写っていて」「機体が真横側面であること」「機体のカラーリングが概ね認識できるもの」であれば、スポッティングカットまたは型式写真として格好はつくと個人的に考えています。条件についてはいろいろとディープな世界もありますが、まずは自分なりにゆる~く撮影してみてください。飛行機写真と言った時にまず思い浮かぶ「らしい」撮り方です。コレクション性が高く、珍しい機体やカラーリングを追いかけるのも楽しみのひとつと言えるでしょう。

 機体をフレームのど真ん中に入れるのが基本構図となるため、フレーミングに対する難しさはありません。ただ、フレームにはバランスよく機体を入れる必要があります。機体の前後を詰めすぎると、いざプリントしたくなった時、用紙のアスペクト比によっては機体の前後が切れてしまいます。だいたい、機体が8割前後フレームの幅の中にあるとよいでしょう。また、特に地上が写る場合には水平出しにも注意を払います。撮り進めていくといろいろな発見があり、自分なりの定義やこだわりも出てくるでしょう。それもまた、この撮り方の奥深さ、楽しみといえます。

近年、スペシャルマーキングを施す機体も多く、スポッティングしていても飽きない。
その種類はキャラクター系からアイドル系、航空連合系のものまでさまざまだ。


スポッティングカットとひと口に言っても、離着陸や地上でのシーンなどがある。
それぞれ好みに応じて撮影するとよいとは思うが、離陸シーンは撮影するための立ち位置を得るのが難しい。


 次回は、情景写真や劇的瞬間をとらえた写真についてお伝えします。

●A☆50/Akira Igarashi
フリーフォトグラファー兼グラフィックデザイナー。イカロス出版の発行する「月刊AIRLINE」「航空旅行」などで航空写真の連載記事制作などをおこなうほか、カレンダー撮影、航空会社の広告撮影などを担当。仕事でもプライベートでも飛行機撮影を行う生粋の飛行機好き。写真家として活動するだけでなく、DTP/WEBデザイナーやライターとしても活躍中! ガンダ◯好きだがニュータイプにはほど遠い。

編集部オススメ記事

注目のインタビュー記事

人気記事ランキング